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第 0355 話

綿はすべてのことを処理し終えてから病院に戻った。

病室に入ると、盛晴が両手を胸に組んで、厳しい顔つきでソファに座って待っていた。

綿はすぐに両手を背中に回し、笑顔で盛晴を見た。「ママ〜」

「まだ私をママと思っているの?」盛晴は怒って叱った。「朝早くからどこに行っていたの?体は良くなったの?今日はまだいくつか検査があるのを知らないの?」

「綿、あんたもう大人なのに、どうしてまだお母さんに心配をかけるの?」盛晴は本当に怒っていた。

彼女は綿が残したメモを床に投げ捨てた。

綿は頭を下げて、少し申し訳なさそうな顔をした。

「ママ……」彼女は小さな声で呼んだ。「私が悪かった」

今回のことは確かに彼女の過ちだった。メモを残して出て行くべきではなかった。

盛晴はふんと一息ついて、顔を背けた。

綿は急いで盛晴の隣に座り、優しく言った。「ママ、本当にごめんなさい。もうこんなことしません。あなたの言うことを聞いて、もう勝手に出歩かない」

「ちゃんと検査を受けて、問題がなくなったら退院するから、いい?」綿は盛晴をなだめるようにして、とても素直に言った。

盛晴は綿をじっと見つめた。

ママである以上、娘のことはよく分かっている。綿は素直に言うことを聞くような子ではない。

ただ彼女はママを喜ばせようとしているだけなのだ。

盛晴は大きくため息をついた。そうでなければ、本当に怒ってしまうのだろうか?そんなことをすれば、命がいくつあっても足りない!

盛晴は綿の額を軽くつついた。

綿は目を閉じてから再び開け、にっこりと笑った。

「朝食を買ってきたから、早く食べなさい」盛晴は不満げに言った。「遅くなったらおばあちゃんとおじいちゃんが来るから、もう勝手に出歩くんじゃないよ」

「分かったよ」綿は頷き、もう勝手には出歩かないと決めた。

盛晴は綿が食事を終えるのを見届けると、病室を後にした。

綿は検査の順番を待ちながら暇を持て余していたので、病院の廊下をぶらぶら歩き回っていた。

病院の患者服は綿には少し大きめだったが、彼女は短パンを履き、黒髪を背中に垂らして、小さな顔はとても美しかった。

通り過ぎる患者たちは思わず綿に目を向け、「本当に綺麗だな」と口々に言っていた。

患者服でさえこれほど美しく着こなせる人は、そう多くない。

綿は何気なく顧妄琛の病室の前を通り過ぎ
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