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第9話

「緊張しないで、ただのハグだよ」

美咲は慌てて自分は緊張していなかったと説明しようとしたが、彼が自分をじっと見ていたことに気づいた。その視線が彼女の心臓をドキドキさせた。

彼女は緊張すると顔が赤くなり、それが氷川にとってますます魅力的に見えた。

「どうしてここにいるの?」

彼の目には愛情が溢れていた。「ここは僕の部屋だよ」

彼女の顔は耳まで真っ赤になって、彼を睨みつけた。しかし、彼にとって、その怒った顔さえも一層可愛く見えた。もし、ここが彼の部屋なら、私が着ていたこのバスローブも彼のもの?

真実がわかった美咲は恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになった。

彼女は慌てて立ち上がり、少し怒ったように叫んだ、「私を放して」

氷川は彼女との接触を楽しんでいたが、すぐに手を放した。彼は拳を握りしめ、さっきの柔らかさをまだ感じていたかのようだった。

彼はもう一度美咲を抱きしめたいと思ったが、彼女を怖がらせたことを恐れ、このままやめた。

彼女はもう自分の妻なのだから、いずれ彼のことを好きになるだろうと信じていた。

「じゃあ、別の部屋で寝る」美咲は焦りながら言った。慌てていたため、また転びそうになったが、氷川はすぐに手を伸ばし、後ろから彼女の腰を支えた。

「一緒に寝ないの?」低くて魅力的な声が頭上から聞こえ、美咲の顔は再び赤くなった。

美咲は腰に置かれた手を払った。「あなたのことは好きではないし、知らないから、一緒に寝るなんて無理よ」

氷川は少女の怒った顔を見て、黙って手を離したが、笑顔で言った。「つまり、僕たちが愛し合えば、一緒に寝てもいいってことだな!」

彼の言葉を聞い美咲は、怒りのあまり何も言えなくなった。

黙っていた女の子を見て、氷川ははもう一度微笑み、彼女の頭を優しく撫でながら言った。「僕たちはいずれ親しくなって、愛情も芽生えるはずだよ。信じて、君は必ず僕の妻になるんだ!」

彼はなぜ自分は必ず彼が好きになったこと信じていたのか。美咲はぜんぜん理解できなかった。目の前の少女が無表情でも、氷川颯真にはとても特別に見えていた。彼は美咲を愛おしそうに見ながら、「僕たちはもう結婚しているんだから、旦那さんって呼んでいいよ」と言った。

美咲はこの場を立ち去りたいと思っていた。

もし今ここで身を引いたら、明日、黒崎拓也と妹の結婚式を一人で参加しなければならなかった。

彼女はため息をついて言った。「この呼び方は口に出せない、他の呼び方にして」

「それでは、私のことを颯真と呼んでいい」

彼はもう彼女に無理をさせず、彼女が納得できた呼び方を進めた。

氷川は彼女をそんなにいたので、彼女を困らせるなんてあり得なかった。美咲はうなずき、その呼び方を受け入れたことができると示した。

「返事だけじゃ物足りないから、颯真って呼んでみない?」と、氷川は強めの口調で言った。

美咲は少し恥ずかしかったが、彼の望みに応えて、「颯真」と呼んだ。「それでいいか」

「美咲、僕はあなたのことが好きだ。今、僕が好きではないでも構わない。これからは僕からの愛を受け入れて、あなたのお世話をさせてください。

「僕のことを拒否しないで、嫌わないでください。そして、自分の気持ちを受け入れ。

「お願い」と彼は彼女に愛の告白をした。

彼の言ったことにも一理あった。

彼らはすでに結婚した。美咲は彼と永遠に一緒にいたいと思っていた。

彼のことを知らなかった人のように無視するくらいなら、その追いかけを受け入れた方がよかった。

彼女も本当の恋愛を感じたかった。

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