去っていった車を見つめ、黒崎拓也の心に不安が募っていた。まさか、あの男が本当にお金持ちだったのだろうか?橋本月影も何か不吉な予感を感じた。「たっくん、どうすればいいのか」妻の可愛らしい顔を見た黒崎拓也は少し気持ちが落ち着いた。「「心配しないで俺がちゃんと対処するから」それを聞いた橋本月影は少し安心した。後部座席に座っている千夏は、車内の装備に呆然と目を向け、しばらくの間、我に返れなかった。千夏は車に乗った後、ずっと黙っていた。もしかすると、黒崎拓也と橋本月影に言われたことが心に大きなダメージを与えたのかもしれなかった。美咲は千夏に声をかけた。「千夏ちゃん」千夏がやっと我に返った。「美咲、これは本当に彼のものか」「プッ」氷川はその言葉に思わず笑ってしまった。「長谷川さん、この車は確かに私のものだ。でも、今、美咲はこの車の持ち主になった」この言葉を聞いた美咲の顔が赤くなった。「私の目の前でイチャイチャするなんて!」愚痴をこぼした後、彼女は冷静さを取り戻した。こうから見れば、この男は確かにお金持ちだった。この車は誰にでも買えるものではなく、黒崎拓也でさえ持っていなかった。最初の推測はすべて誤解だった。彼女は少し申し訳なく感じた。次に!もし、この男は美咲の美しさに心を奪われ、一目惚れしてしまった。そう思った彼女はすぐにその考えを打ち消した。彼は浅はかな人ではないだろう。だが、この男は本当に美咲に優しくしてくれるか?お金持ちだから、黒崎拓也のような人ではないはずだと千夏はずっと考えていた。心配になった千夏は、美咲の耳に寄りかかって、何かを囁いた。「美咲、この男、どこに出会ったの?「彼はあなたに優しくしてくれる?「だまされないでね!」彼女の目は心配に溢れていたが、隣の氷川颯真がすでに全部を聞いていたことに気づいていなかった。彼女の声はとても小さかったが、、隣にいた氷川はそれをしっかりと聞き取った。美咲の親友彼を信じていなかったけれど、美咲のことを大切にしていた。それは十分だった。だが、それに気づいていなかった彼女は、まだ話し続けていた。「美咲、慎重に!「今回はスピード婚だね。もっと慎重にして!「彼と別れても気にしなくていいよ、あなたは美人だから」千夏はこつこつと美
どんなことがあっても、彼女はずっと自分をしっかりと支え続けた。でも…それは…氷川はすでに怒ったことに千夏はまったく気づいなかった。「特に「別れ」と言ったとき、氷川颯真は一層怒りを露わにした」今の氷川は確かに怒った。美咲は今、氷川が突然車を止めて親友を殴ったのではなかったかと心配した。「千夏ちゃん…「早くやめろうよ」と美咲はねがっていた。氷川はとうとう我慢できずに自分を弁護したことにした。「千夏さん、私より優れた男は、ほぼないだろう」自分の世界に没頭していた千夏は、先ほどの二人の会話が彼に聞かれていたことにやっと気付いた。車内には一瞬に静まり返った。千夏は突然の出来事にパニックを起こし、どうしたらよかったのか全く分からずに立ち尽くしていた。でも、それは自分と美咲のことでしょう?「親友に結婚相手を慎重に選んでほしいと助言していただけです。この話は私たち女性同士のことだ!」彼女は堂々と言った。「美咲の彼氏として、それを聞いた資格がある」運転中でなければ、彼は千夏としっかり対峙していただろう。こんな小さなことすら譲れなかったなんて、あなたは本当に素敵な男だと言えたのか。彼女は一切怯むことなく、毅然とした態度を崩さなかった。彼女は話を終えると、真剣に美咲を見つめ、「美咲、この男の本性が分かったの?」と問いかけた。氷川も言い返した。「美咲、僕はどんな人を分かっただろう」美咲は、親友と新婚の夫の間で板挟みになり、困り果てていた。どうしようか。この二人はどちらも重要な人だった。どうして、急にこんな場面になったか?「なぜいつも自分を巡ったのか「神様、助けて「ああ、この場から逃げたい」と美咲は心の中で祈っていた。「私、中立だ」「何!」さっき、喧嘩した二人は一緒に大声で叫んだ。「氷川さん、運転するから、集中して」氷川はしぶしぶと頭を回して、再び運転に集中した。今日、千夏はとても嬉しかった。でも、この男が親友の心の中で私の地位を奪おうとするなんてありえなかった。彼女が得意そうにしていた姿を目にして、氷川は怒りに燃えた。大人なのに、子供のようにお互いに拗ねていた。なんて子供っぽいんだった!でも、二人は喧嘩した後、やっと静かになった。美咲もほっとし
「美咲のこと、ちゃんと世話してくれる?」千夏の言葉が、車内の雰囲気を再び緊張させた。「千夏、お願いだからもう言わないで!」美咲は心の中で祈った。「もちろん、それは百パーセントのことだ」氷川は落ち着いた口調で言った。その口調は平静だったが、決意がこもっていた。この答えを聞いて、千夏の心配は少し和らいだものの、まだ完全に安心したには至らなかった。「以前、黒崎拓也も同じ約束をしたけど、でも、彼は美咲を深く傷つけた」千夏は黒崎拓也のことを話したとき、感情が高ぶった。「すみませんが、私の問題に応えたてくれ」氷川颯真は話し続けた。「僕は美咲をちゃんと守るから、心配しないで、僕は実な行動で証明するから」「口先だけの言葉は証拠にならなかった」これを聞いた美咲は我慢できず千夏をを止める。「千夏ちゃん!」自分のためだが、美咲は少し不機嫌になった。「美咲、私の話を遮らない、ほかの男に傷つけたくない」「長谷川さん、僕は美咲のことを心から愛する。実には、僕は美咲に一目惚れした「美咲と結婚した後、彼女の全てを調べさせた。そして、その真実を知った時、僕も心を痛めた」彼は美咲が好きだから、彼女に関したことは何でも知っておく必要があった。「だから、僕は将来、もし美咲を裏切ったら、僕の財産はすべて美咲のものになったと決めた」彼が言ったことを聞いて、千夏は少し安心した。「あなたって、思ったよりも頼りになったのね。それなら、私もあなたを信じるよ」それを聞いた美咲は大変感動した。こんな誓いを立ててくれたのは、氷川は初めだった。もし、今回こそ本物の王子様を見つけたのかもしれないと思った。自分の心を彼に完全に委ねたことができたと信じた。彼女が自分を癒す時間を少し与えてあげてください。お願い。氷川颯はまるで美咲の心の内を見透かしたかのように、彼女に向かって優しく微笑んだ。美咲も彼に微笑んだ。「もういいから、二人のイチャイチャはそこまでにして、早く私を家に送ってよ」千夏は二人の視線のやり取りをさっと遮った。友達にからかわれて、美咲は恥ずかしそうに顔を赤らめて微笑んだ。「でも、千夏、あなたはなぜ黒崎グループに行ったか」と美咲は千夏に訊ねた。
長谷川千夏は白い目で彼女を見た。「自分に聞いてみたら」橋本美咲はさっぱり見当がつかなかった。どうして自分に聞くの?しかし、長谷川千夏がそれから話したことは彼女の疑問を晴らした。「もともと、あなたに会いにいくつもりだったんだけど、でも、昨日母と大げんかして家を出ちゃったって聞いたわ。「だから、急いであなたを探しにいった。いつも行く場所も探したんだけど、姿はどこにもいなかった。仕方なく、黒崎グループに行ってみたわ」何か不快なことを思い出したようで、長谷川千夏の声はだんだん大きくなった。「そしたらね、そこに着いた途端、すぐに黒崎拓也の厚かましい言葉を耳にした。もう、本当に腹が立つわ」橋本美咲は眉をひそめた。「だから、喧嘩したの?」長谷川千夏は頷いた。橋本美咲は長谷川千夏に何か言いたかったんだけど、でも、それを言うのは良くないと思った。口を開けては閉じたりして、悔しくて顔が真っ赤になってしまった。長谷川千夏は橋本美咲の親友なので、彼女のその様子を理解しないはずはなかった。すると、怒ったように口を開いた。「私に何か言いたいことがあるなら、直接言ってくよ。親友でしょう。そのまま話さないと、つらいのは美咲自分だよ」長谷川千夏の話を聞いた橋本美咲はほっとした。すると、彼女は心の中で思ったことを全部話した。「千夏、今度そういうことに会っても、もう頭を突っ込まないでね」長谷川千夏は橋本美咲の話を遮ろうとしたが、彼女の心配そうな目を見ると諦めた。「千夏は一人で、向こうは二人、しかも黒崎グループの前よ。万が一なにがあっても、千夏のところに駆けつけることができないわ。どうしたらいいの?」長谷川千夏は黙った。少し納得がいかなかったが、でも、橋本美咲の言うことは正しかったと認めざるを得なかった。彼女は力なく言った。「じゃあ次は、彼らが美咲を侮辱するのを聞いても、黙ってみってろってこと?「そんなことできないわ!私の性格、美咲も知ってるでしょ」橋本美咲はため息をついた。「知ってるよ、千夏。「でも、千夏に何かあったら嫌なの。黒崎家は大きな力を持っているし、うちの家族も橋本月影を可愛がるから。もし何かあったら、千夏を守れないわ」この言葉を聞いて、長谷川千夏は悔しさでいっぱいだったが、反論することはできなかった。ただ車の後部座
それを聞いた氷川颯真は一瞬戸惑った。この女は自分が何を拒んでいたのか知っていたのか?氷川グループ社長からの約束なんて、他の人は神に祈っても手に入れられないものなのに。それなのに、目の前の女は、氷川グループ社長の約束を拒もうとした。しかも、美咲は他の人と違って、自分の妻だった。氷川颯真は眉をひそめて、ニヤリと笑った。「他の人はこの言葉を言ってもいいが、美咲だけはダメだ。僕の妻だから、美咲を大切にするのは当たり前のことよ」後ろに座っていた長谷川千夏は、密かに自分の目を覆った。「また始まっちゃったのか?!いつも見せびらかしちゃって。「まあ、いいよ。独身者の私の気持ちを考えるとは思っていないわ」千夏は無表情で目を覆っていた手を下ろした。見せびらかしてもいいか、ないよりはマシだし。はい、ごちそうさまでした。美咲ちゃんがこの男とイチャイチャし続けたのを見て、長谷川千夏はついに耐えられなくなった。二人に向かって叫んだ。「お二人さん、イチャイチャしたいなら、家に帰って続けてください。先に私を家まで送ってくれない?」橋本美咲は恥ずかしくなり、急いで氷川颯真に言った。「颯真、早く千夏を家に送ってあげて」氷川颯真は何も言わなかったが、心の中では、家に帰ったら、ゆっくり話そうと思った。どれぐらい車を走らせたのかわからなかったが、ようやく長谷川千夏が住むところに送り届けた。車から降りた長谷川千夏は、自宅に戻ろうとしたが、2、3歩踏み出した後、急に停まった。そして、まじめに橋本美咲を見つめた。「美咲ちゃん、もしあの男がいじめたら、私のところに来なさい。あなたの親友はいつまでもあなたの味方だから、必ず守るわ」橋本美咲は笑った。「うん、でも安心して、彼は黒崎拓也じゃないから…」橋本美咲の言いたいことを理解した長谷川千夏は、それ以上何も聞かなかった。振り返らずに自宅に向かって歩いていた。娘が大きくなって、ようやく任せられた人ができた。母さんは本当に安心したわ。幸いなことに、彼女が何を考えていたか橋本美咲は知らなかった。そうでなければ、きっと彼女を殴っただろう。長谷川千夏が自分のマンションに帰ったのを見て、橋本美咲は車に戻った。「戻ったわ」「うん」橋本美咲の心は温かくなった。とても簡単な会話だが、彼女に家の感じを与えた。こ
その言葉に橋本美咲の顔は真っ赤になり、しばらくの間、言葉が出てこなかった。そうだよ。すでに氷川颯真と結婚したんだわ。変態とは言えない。そう思いながらも、橋本美咲はちょっと不機嫌になった。しかし、何に対して不機嫌なのか知らなかった。橋本美咲の顔色が良くないのを見て、氷川颯真はにっこりなから言った。「しっかり座って、家に帰るわよ」からかうのも限度がある。度が過ぎるとよくないのは、氷川颯真もよく知っていた。しかし、可哀そうな橋本美咲は、自分が氷川颯真にからかわれていたことを知らなかった。自分がいったい何に対して悔しいのを、まだ真剣に考えていた。氷川颯真が何を言ったのかもはっきり聞き取れず、ただ適当に返事をしただけだった。氷川颯真は眉をひそめた。いい度胸だな。可愛い妻が自分を無視するなんて。そして、意地悪そうに、突然アクセルを踏み込むと、車が飛び出した。まだ制限速度内だったが、さっきよりずっと速くなっていた。氷川颯真の突然の行動に、橋本美咲は驚いた。「何してるの、何で急にこんなにスピード出したの?」氷川颯真は悠然としていて、可愛い妻がやっと正気に戻ったのを見て、やっとゆっくりとスピードを落とした。彼は落ち着いて言った。「可愛い妻が自分の考えに没頭していたから、ちょっとやいた。だから、美咲の注意を引きたかったんだ」橋本美咲は苦笑いしながら言った。「こんな方法で私の注意を引くとは。もしスピード出し過ぎると、私たちは死んでたかもよ」氷川颯真はにっこりと笑った。「安心して、僕がここで死んでも、妻を危険にさらすことはしない」橋本美咲は何を言えばいいのかわからなかった。氷川颯真と会ったばっかりだったが、数日前、彼はこのような態度ではなかった。いつから優しい俺様社長から、このようなふざけた人になったのだろうと、橋本美咲は困惑した。分からないなら考えなくていい。このままでいいんだよ。自分の男が自分に甘い言葉をかけるのが嫌いな女はこの世にはいなかったから。橋本美咲は静かになり、運転している氷川颯真をまじまじと見た。すると、何かがおかしいと気づいた。「氷川颯真、私たちはどこに行くの?」氷川颯真はまた彼女をからかうと思った。「やっと気づいたか、美咲を売るつもりだよ」橋本美咲は少し混乱した。「冗談よ。これから、僕の事業
氷川颯真がそう言ったんだけど、橋本美咲はまだ少し心配していた。会社を経営したり、金融を学んだりしたこともあったんだけど。氷川颯真が突然、このような大きな事業を彼女に渡したのは、本当に大丈夫なのか?しかも、結婚したとは言え、まだ1カ月も経っていなかった。橋本美咲はあれこれを考えた。しかし、どう考えても、今直面していたのは事実だった。目的地に到着した後、氷川颯真は手を伸ばして、橋本美咲を助手席から降ろした。橋本美咲はぼんやりして、氷川颯真の後ろについて目的地に入った。周りをよく見ると、驚いて言葉を失った。信じられないように言った。「氷川颯真、私に見せたのは本当に会社なの?これはリゾート地じゃない?」そうだ、今橋本美咲の目の前に広がっていたのはリゾート地だった。ここでは美しい景色が広がっており、広大な敷地を持っていた。遠くには、山もかすかに見えた。「そうよ」氷川颯真は変わらぬ表情で言った。「これが僕の事業だ。僕の事業は規模が大きく、各業界にも展開していて、観光業はそのうちの一つだった。「ここは僕がよく来る場所だった。疲れた時はよくここで休んでいた。「うちの女主人として、美咲も知っておく必要があると思ったので、ここに連れて来た。ついでに、ここのスタッフにも顔を覚えてもらおうと思った」橋本美咲はぼんやりと頷いた。氷川颯真は橋本美咲をリゾート地の中にあったホテルのようなところに連れて行った。氷川颯真が女を連れて来たのを見て、受付嬢は驚いたような顔をした。幸いなことに、彼女は基本的な職業人としての素養を持っていた。すぐ自分の驚きを抑え、いつも通りの仕事モードに戻った。「氷川様、こんにちは。いつも通りですか?」彼女は素敵な笑顔を見せた。氷川颯真は慣れてた様子で頷いた。「いつも通りだ」そう言った後、急に止まった。隣にいる橋本美咲を思い出したからだった。振り向いて、まじまじと橋本美咲を見た。橋本美咲は分からないままに彼を見返して、首を傾けた。氷川颯真から見ると、その様子がとても可愛かった。そして、他人に対する冷たい顔を和らげた。「美咲ちゃん、部屋に何か要望はあるかい?」橋本美咲はちょっと考えた。「特にないわ。食事や寝る場所にはこだわりがないから、颯真に任せるわ」氷川颯真は頷いて、受付嬢に言った。「聞こえたか?」受付嬢はすぐわかった。「はい、かしこ
氷川颯真は橋本美咲を連れて上階に行った。ドアを開けた途端、目の前の光景を見た橋本美咲は、息をのんだ。部屋のあちこちに置いていたバラを見て、複雑な顔をした。振り返って氷川颯真を見た。「普段もこんな部屋に住んでるの?」氷川颯真も呆気に取られた。彼の部屋はいつも黒くてミニマルで、このように派手ではなかった。橋本美咲の質問を聞いた後、彼は呆けた顔で橋本美咲を見て、目をパチパチさせながら言った。「いや、違うよ。普段では黒くてミニマルな内装だったが、今日はどうしてこうなったのか分からないわ」そうして、橋本美咲と氷川颯真はその場で立ち尽くし、お互いを見つめ合った。すると、橋本美咲は氷川颯真の顔の美しさに耐えられず、先に視線をそらした。氷川颯真もほっとした。自分の可愛い妻は、やっと視線をそらした。そうでなければ、自分も耐えれらなった。氷川颯真は慌てて説明した。「美咲ちゃん、信じて。この部屋はいつもこんな様子じゃないんだ。前に僕の部屋を見たことがあるよね。黒くてミニマルだったわ」橋本美咲の耳はまだ赤くて、あまり深く考えずに氷川颯真に頷いた。「信じてるよ」氷川颯真は暖かさを感じた。自分の妻は本当に可愛いだね。彼は橋本美咲に微笑みかけ、彼女を少しリラックスさせようとした。「この部屋はプレジデンシャル・スイートで、普段は主寝室だけ使ってるんだ。ここには寝室がもう一つあるので、気に入るかどうかわからないが、もし気に入らなければ、人を呼んで、中の物を変えられるよ」橋本美咲は首を横に振った。「大丈夫よ。住む場所にはこだわりがないんだから。なぜバラだらけなのか知らないけど、結構気に入ったわ」氷川颯真は頷いて、頭の中にこう考えた。美咲ちゃんがこんなに花が好きのなら、家で鉢植えをいくつ育てばいい。さらには、温室を建てて、花を世話する専門家も探せばいいんだ。そうすると、美咲ちゃんが花を世話する手間も省けた。しかも、いつでも美しい花を見ることができたわ。橋本美咲はまだ自分の旦那が何を考えているのか知らなかった。もし知ったら、きっと驚いただろう。彼女はただ花が好きと言っただけで、氷川颯真に温室を建ててもらうつもりはなかったから。しかし、それを知ったのはずっと後のことだった。その時、彼女はとても驚くだろう。なぜなら、氷川颯真はその中に