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第113話

美咲は椅子から立ち上がり、カエデリンの前に駆け寄って鈴音の手を握った。「鈴音ちゃん、あなたは私のラッキースターだわ!これは本当に素晴らしい知らせよ」

鈴音は顔を赤く染めながら美咲を見上げた。

「ありがとうございます、美咲さん、大したことではありませんよ」

美咲は微笑んで彼の手を軽く叩き、「そんなことないわ。見込まれるということは、それだけあなたが優れている証拠だよ」

鈴音はにっこり笑い、美咲の役に立てたことを喜んだ。

「投資家はいつ来る予定なの?心配しないで、私は必ず良い条件を引き出す」

美咲はこの好機を最大限に活かし、会社の名声を高めると意気込んだ。

「三日後に投資家がここに来て話し合う予定です」

鈴音は少し不安になりつつ、美咲に尋ねた。「美咲さん、投資家が来る時、一緒に参加してもいいですか?」

美咲は少し驚いたように言った。「この漫画は、あなたが編集と執筆を担当したものだから、一緒に行くのは当然だ」

鈴音は慌てた様子で答えた。「いや、そうじゃなくて…私が言いたいのは、

「この漫画の権利を売るときに、映画化される際のメインライターとして参加したいということです。自分のストーリーが大きく変わってしまうのは耐えられません。私のキャラクターたちはまるで私の子供で、彼らが成長していく姿を見守ってきたんです…」

鈴音の言葉は次第に混乱したが、美咲はそれを理解した。彼女はしばし考えた後、慎重に答えた。

「鈴音、安心して。この件については全力で取り組むけれど、百パーセントの成功は保証できないが、最終的には投資家が選んだ監督次第だから」

鈴音は少しがっかりしたが、美咲に感謝の気持ちを伝えた。「大丈夫ですよ、美咲さん。この件の重要性は理解していますし、サポートしてくれて感謝しています。

「他に何もご用事がなければ、私はこれで失礼して、仕事に戻らせていただきますね」

そう言って、鈴音はオフィスを出て行った。彼女の少し寂しそうな背中を見て、美咲の心が痛んだ。

「まあ、ちょっとした条件だから、投資家たちにしっかり頼んでみよう」と、美咲は決めた。

鈴音が出て行った後、美咲は再び机に向かい、丁寧に書類を処理し始めた。投資家たちは明後日に来る予定で、その日は時間を確保する必要があり、仕事が倍増した。

美咲は、仕事に没頭していると、アシスタントがノックして顔
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