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第102話

「はい、それでは名前を記す。そういえば、初めて見たときに芸術学部の学生かと思ったよ。なんだかアーティストのオーラが漂っているから」

「おじさん、私は美術学部の学生ではないが、実は絵を学んでいて、今は漫画会社でインターンしている」

もっとも、その会社は自分の会社だけどね…

「そうだね!」と警備員さんは納得した。

「こんなに簡単に入ったとは。「警備員のおじさんは本当に良い人だ」と、大学に入った美咲はそう思った。

それは、卒業しても美咲が非常に若々しく、純粋な雰囲気を持っていたため、まるで大学の三年生や四年生のように見えたということだった。

美咲は、キャンパスの中で何となく散歩していた。

ここは、かつて彼女が宿題をしていた東屋だった。その向こうの林は、カップルたちのデートスポットとして有名で、さらに遠くには小さな売店が見えた。

冷たい風が吹きつけ、美咲は身震いした。

コンビニを見つけた美咲は「ジャケットを買いいに行く」と思った。

彼女は急いでコンビニに入り、店内を見渡すと、以前よりも品揃えが充実しており、服まで売っていたことに驚いた。

それはちょうど良かった。美咲は一着ジャケットを選び、レジに向かって会計を済ませたことにした。

「美咲?」

優しい声が背後から聞こえてきた、しかし、その声には少しの疑問と不確かさが含まれていた。

美咲が振り返ると、首に黒いほくろがある背の高い男性が立っていた。

美咲は彼のことを覚えていなかった。

でも、彼はどうて自分を知ったの?美咲の顔を見た男の子は自分が間違っていなかったことを確信し、喜びの表情を浮かべて美咲に近づいてきた。

美咲のそばには会計を待っていた人はいなかった。そうでなければ、待っていた人たちは彼が順番を抜かしたと言っていただろう。「本当に君だったんだね、間違えていたかと思ったよ。君は留学中だと思っていたのに、どうしてまたキャンパスにいるの?」

この人は自分を知っているだけでなく、詳しいことも知っていたようだった。もしかすると、昔の同級生なのかもしれなかった。

でも、自分の同級生なら、すでに卒業したはずだった。修士と博士なら、その可能性もあった。

「君は誰?」

美咲は彼をじっくりと観察したが、誰なのか思い出せなかった。

彼は恥ずかしそうに顔をかいた。「僕だよ、須山啓太だよ。昔のクラスの班
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