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第13話

あの日は、珍しく晴天だった。

雪子が母さんを訪ねてきた。

彼女も一応、事件の一因ではあったが、母さんの目から見れば、雪子は智也ほど罪深くはないと思っていた。

だから、母さんは自分の怒りを抑えて、無理して少し優しく接した。

雪子は母さんに「下に降りて少し散歩しませんか」と提案した。

「おばさん、こんなにいい天気なのに、ずっと病室にこもっているなんて、しんどいでしょう?

今、誰もお世話してくれないなら、私を娘だと思ってください。だって、この目は優花がくれたんですから……」

私の名前が出た瞬間、母さんの目には涙が浮かんだ。

雪子を見つめる目にも、自然と少し寛容な色が混じっていた。

雪子は母さんを車椅子に乗せ、下へと連れて行った。

一歩一歩、歩みを進めていく。

雪子が少し足をよろけただけで、私は不安で心臓がドキッとした。

何かがおかしい、そんな気がした。

そして、二人は湖のほとりへと向かった。

雪子は母さんの手を握り、口元に笑みを浮かべながら言った。「おばさん、鯉を見に行きましょう。

あそこには、とても大きな鯉がいるんですよ」

母さんは呆然として言った。「優花も魚を飼うのが好きだったのよ。

他の人の飼っていた魚はすぐに死んじゃうのに、優花の飼ってた魚はすごく長生きしたの。ある魚は、5年も生きたんだから」

雪子はじっと前を見据え、一瞬、口元に不気味な笑みが浮かんだ。

その瞬間、私は全身が震え、背筋に冷たいものが走った——

そして、思い出したんだ。
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