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第14話

私が5年育てたあの魚は、ある日突然死んでしまった。

それは、雪子が帰国して間もない頃だった。

智也は彼女を私の家に連れてきて、彼女を世話してほしいと言った。

それで、雪子はゲストルームに泊まっていた。

魚が死んだ日、私はその魚が寿命を迎えたのだと思い、あまり気にしていなかった。

だが——

何日か経って、私の高価な限定版の指輪が見当たらなくなり、どこに置いたか思い出すために監視カメラを確認した。

すると、動きの悪い雪子が私の水槽に近づいて、魚を取り出し、床に叩きつける姿が映っていた。

彼女はつぶやいていた——

「夫人の座は本当は私のものなのに!

あんたがそれを何年も奪ってきたんだから、そろそろ返してくれてもいいでしょ?

これは智也が私に借りているもの、彼が私に借りがあるんだ!

あいつのせいで、私の目がこんなことになったんだ!」

怖くなった私は、雪子と智也の過去を調べ始めた。

そしてわかったんだ。雪子の目の問題は、遺伝の影響もあったが、直接の原因は、ある夏に智也が雪子と一緒にロッククライミングに行き、雪子の装備に問題があったせいで高所から転落し、目を傷つけてしまったことだった。

それ以来、彼女の視力は急激に悪化し、二人の関係も恋人から怨敵へと変わった。

その後、雪子は治療を受けるために国外へ行き、智也と別れた。

だが、智也は彼女の手を握り、「心配するな、君に借りがある。俺はそれを必ず返す」と約束していた。

そう、あの時から智也は、彼女の角膜を手に入れる計画を立てていたんだ。

初めから、彼は私を愛してなんかいなかった。

ただ利用していただけだった。

それに気づいた時、私は智也と離婚する計画を立てた。

だが、話をつけようとしたその日、事故が突然襲ってきたんだ。
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