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第176話

春永殿から怒りに満ちた鋭い声が響いた。「北冥親王妃になりたいと?私が死なない限り、そんなことはあり得ない。上原さくらに伝えなさい。愚かな妄想は捨てるべきだと。さもなければ、私が許さないわ」

影森玄武は平静な表情で、取り乱した恵子皇太妃を見つめていた。幼い頃からこのような怒号の中で育ってきたので、もう慣れていた。

しかし、さくらはこれに慣れることはできないだろう。

恵子皇太妃は顔を青ざめさせ、指を突き出した。長い爪が玄武の鼻先まで迫った。「私は数日後に親王家に長く滞在する予定よ。彼女が親王家の門を一歩でも跨げば、私が彼女の足を切り落としてやる」

玄武は軽く頷いた。「はい、足を切るのはいいですね。さくらが敵の両足を切り落とすのを見たことがあります。一刀が稲妻のように速く、カチッという音とともに、人が三つに切断されました。両足が二つ、体が一つ。見ていて痛快でした」

慧太妃は手を振り上げ、厳しい声で言った。「彼女が上原家の嫡女だろうと、武芸の高い武将だろうと、私の目には将軍家から追い出された捨て女にしか見えないわ。あなたは親王よ。京都には清らかな貴女たちが親王家に入りたがっているのに、使い古しの靴を選ぶの?頭がおかしくなったの?」

玄武の目に鋭い光が走った。「そのような言葉を二度と聞きたくありません。母上がさくらを好きになれないのなら、親王家に来なくてもいい。ここ宮中で贅沢に暮らしていればいいでしょう」

恵子皇太妃の目に一瞬傷ついた色が浮かび、すぐに冷たさに変わった。「何ですって?あの…再婚する女のために、私に親王家に来るなと?玄武、あなたは不孝者よ!」

大和国では古来より仁と孝で国を治めてきた。「不孝」という一言は、まるで富士山が頭上に落ちてくるかのような重みがあり、玄武を窒息させかねないほどの圧力となりうるものだった。

しかし、「狼が来た」の話のように、最初の「不孝」の一言二言は確かに雷に打たれたような衝撃があった。だが、百回目、二百回目、そして数え切れないほど聞かされた後では、「お前は不孝者だ」という言葉は、玄武にとって単に母上が怒っているという意味でしかなくなっていた。

母子の関係が表面上の調和を保っているだけでも、すでに稀有なことだった。

そのため、恵子皇太妃が「不孝者」と言った後、玄武は淡々と答えた。「上原さくらと必ず結婚します。母上が新婦
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