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第177話

恵子皇太妃は寝椅子に伏せ、上原さくらへの憎しみで胸が満ちていた。側にいた高松ばあやが慰めた。「お慰めください。親王様はいつも主義のある方。今はたださくら様の美貌に惑わされているだけです。聞くところによれば、彼女の美しさは京中随一とか。以前、上原夫人が彼女を嫁がせようとした時、多くの貴族の若殿が求婚に訪れたそうです。どういうわけか、上原夫人は北條守に嫁がせてしまいましたが」

高松ばあやは皇太妃の涙を拭きながら、さらに慰めた。「所詮は使い古しの品。そこまでお怒りになる必要はありません。親王様がどうしても彼女を娶りたいというなら、そうさせればいいのです。美人は遠くから眺めるものです。日々顔を合わせていれば、いずれ飽きが来るもの。どんな美人でも、嫉妬深くわがままを始めれば、どの男も嫌気がさします。親王家には彼女一人だけではないでしょう。他の側室たちが入ってくれば、その醜い本性が現れるはず。その時には、あなたが何も言わなくても、親王様自身が嫌になるでしょう」

皇太妃は恨めしそうに言った。「そうは言っても、堂々たる親王が離縁された女を娶るなんて。しかも、あの没落した北條家から追い出された女よ。私は後宮でどう顔を上げればいいの?」

恵子皇太妃はいつも強気な性格だった。先帝の後宮全体で、姉以外は誰一人眼中になかった。かつての淑徳妃、今の淑徳皇太妃でさえ、彼女は無視していた。

淑徳貴太妃の息子である榎井親王は、皇后の実家の姪を娶った。皇后の実家である斎藤大臣は名門の出で、その一族は朝廷で大きな影響力を持っていた。

恵子皇太妃の娘、寧姫も婚約の話が進んでいて、候補者リストには斎藤家の六男坊の名前もあった。

六男坊は斎藤家の三男家の息子だった。三男家は嫡出ではあるが、当主が幼い頃に転んで頭を打ち、今では40歳なのに7、8歳の子供のようだった。

幸い、優しい妻を娶り、妻は彼を子供のように可愛がり、一男一女を産んでいた。

その六男坊も学問好きではなく、科挙の初級試験さえ通れず、毎日馬球や凧揚げ、氷滑り、投壺遊びに興じていた。最近では花を育てるのが趣味になったという。

恵子皇太妃は当然ながら彼を見下していた。娘の婿には学識豊かで、品行方正な人物を望んでいた。斎藤家の六男のような遊び人ではなく。

しかし斎藤家は、六男を姫に嫁がせようとしていた。姫に嫁げば朝廷の重要な職に就けず
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