共有

第9話

私は、林原誠司に引き寄せられるように、後を追った。

彼は車を猛スピードで走らせた。

タイヤに火を散らそうなスピードで、警察署の入り口の遮断機をなぎ倒した。

「林原さん、一体どうしたんだ」

警備員が驚いて後ろで追いかけた。

「今日は、結婚式じゃないのか」

しかし彼は何の返事もなく、警備員をスルーして走った。

その頃、諏訪部警部は解剖室で私の遺体を見つめ、複雑な表情をしていた。

「まさか、お前が5年も前に死んでいたとはな、月華さん」

「もしかしたら、あの時の事件は」

「ドタン」

林原誠司がよろめきながら解剖室に飛び込んできた。

諏訪部警部は驚いて飛び上がった。

「胎児はどこだ」

「胎児はどこにあるんだ」

林原誠司は警部の胸ぐらを掴んで、取り乱した様子で叫んだ。

諏訪部警部は、しばらくの間、彼をじっと見つめていた。

そして、重いため息をついた。

「胎児は…お前が検査室に送ったんじゃないのか?誠司」

その瞬間、林原誠司の手の力が抜けた。

彼は、床に崩れ落ちた。

「そんな」

「どうして、こんなことに」

彼は震える手で解剖台の上の私の遺体を見つめ、悲しげな目で言った。

「月華、どうして死んでしまったんだ」

そう、どうして私は死んだのか?

あなたの純粋無垢な白月の君に聞いてみたらどうだ!

少し復讐ができたみたいに私の心を満たした。全身が震えるほどの顔に冷笑を浮かべた。

誠司、今のあなたはどんな気持ちだ?

私の死によって、橋本美弥と添い遂げることができるようになったはずなのに!

なぜ笑わないの?

なぜ泣くの?

醜いシワだらけのヒキガエルみたいだ!

「諏訪部、知ってるか」

彼は突然顔を上げて、捨てられた犬のように、つぶやいた。

「あれは僕と月華の子供だったんだ」

「月華は妊娠するのが苦労だったんだ」

「でも、僕はそのことを知る前に、彼女を亡くしてしまった」

彼の姿を見て、吐きそうだわ。

かつて、私に濡れ衣を着せて、私を葬り去ろうとしたあなたが、今になって泣き言を言うのか?

誠司、あなたは、本当に最低な男だ!

この時諏訪部警部の携帯が鳴った。向こうの話を聞いて、再びため息をついた。

「誠司、もう終わったことだ。月華のために、できる限りのことをしてあげるのが、今のお前ができる唯一のことだ」

「鑑識が彼女
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status