共有

第11話

諏訪部警部は冷酷な表情で携帯電話の電源を切り、「橋本美弥、これはただの取り調べの録画です」と冷たく言った。

「5年前、故意に上谷月華をあの倉庫に呼び出し、男たちに暴行させたこと、そして、証拠隠滅を手伝わせたことは、この男がすでに自白していました」

「いまさら、自ら真実を話しますか。そして、あの時研究所のデータと成果はどうなりましたか」

これは、橋本美弥に罪を償う機会を与えているのではない。

精神的なプレッシャーを与えるものだ。

しかし、林原誠司は「暴行」という言葉に反応し、目が血走った。

「橋本美弥、君」

諏訪部警部は彼を制止した。

斉藤は頭を殴られたような衝撃を受けた。

「俺たちは…先輩を誤解していたのか」

新井先生も信じられないという表情で、橋本美弥を責める言葉さえ見つからないようだった。

「美弥くん…君は、まさか」

「なんだ、やったのよ!それが何か」

橋本美弥はもはや開き直ったように、狂ったように笑い出した。

「みんなが上谷月華を好きで、すごいと思っているのが気に入らなかったのよ」

「どうして、あたしがたくさんの男に弄ばれたのに、彼女は輝いているの」

「彼女は、たくさんの名誉を手に入れて、誠司まで奪った」

「彼女は、死ぬべきだったのよ」

「私と同じように、汚れるべきだったのよ」

彼女の鋭く残酷な叫び声は、解剖室に穴を開けるようだった。

なのに、橋本美弥の表情はひどく悲しそうだった。

まるで、自分が被害者であるかのように、まるで世界中が自分に借りがあるかのように。

斉藤は悔しさのあまり泣き出した。

「この悪女!俺はお前の嘘を信じて、先輩を誤解して、侮辱し続けたんだ」

「お前を殺してやる」

斉藤は橋本美弥の首を絞めようとした。

「お前たちが愚かなだけよ!誰のせいでもないわ」

橋本美弥は白眼をむきながらも、さらに嘲笑するように笑った。

新井先生は悲痛な面持ちで斉藤を止めた。

「落ち着け!法律で橋本を裁き、月華くんに正義を」

…ふん、もう私を売国奴呼ばわりしないのか?

しかし、今さら正義なんて、私には何の意味もない。

私はすでに死んでいるのだ!

一角、斉藤は橋本美弥の首を絞める手を緩めなかった。

「やめなさい」

ついに、諏訪部警部は堪忍袋の緒が切れ、威嚇射撃をした。

「全員、手を止めなさい!騒ぎを
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status