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第4話

翌朝目覚めると、揺れるブランコがすべてが夢ではなかったことを思い出させた。

忙しさで自分を麻痺させようとしたが、心の中の無数の隙間は埋まることがなかった。

なぜか理沙が私の連絡先を手に入れた。

「私たちは一緒に住んでいて、彼は仕事が終わったら夕食を作ってくれるって約束してくれた」

「あなたの家のブランコ、とても気に入ったわ」

手に持っていたカップが地面に落ちて粉々になった。

気がついたときには、すでにタクシーに乗っていて、理沙のマンションの外に停まっていた。

理沙と行一が手をつないで私の視界に現れた。

彼女は行一の手を振りながら、夜にはニンジンと牛肉の煮込みが食べたいと言った。

普段は料理をしない行一は、仕方なさそうに首を横に振った。

「いいよ、何でも作ってあげるよ」

愛というのは、人を屈服させるものなんだと悟った。

理沙は嬉しそうに行一に近づき、二人は人混みの中で長いキスを交わした。

かつて行一が「唐沢理沙とは何もない」と保証してくれたとき、一瞬でも信じようとした自分が、

本当に愚かだった。

運転手が「あとどれくらいこの車にいるつもりですか?」と私に尋ねた。

私は彼の方を振り向き、涙が顔を伝った。

「運転手さん、あの二人、幸せそうですよね」

運転手は私の視線を追いながら答えた。

「そうですね、若いっていいもんですね」

携帯が光った。

「晴奈、今晩は接待があるから、帰りが遅くなる」

でも、翌日になって初めて分かったのは、理沙が私を呼んだのは、自分の幸せを見せびらかすためだけじゃなかったということだ。

行一が仕事から帰ってきたとき、顔色があまり良くなかった。

彼は意図的に彼を避けていた私を呼び止めた。

「晴奈」

避けようがなかった。ただ、彼の次の言葉が、まるでナイフのように私の心に突き刺さった。

「彼女の家に行ったんだろう?」

私はその場に立ち尽くし、彼の返事を待てず、苛立った表情を浮かべる彼を見つめていた。

「俺、約束したよね。唐沢理沙とは何もないって」

「彼女はお前とは違って、怖がりで簡単に驚かされるんだから。どうして彼女の家の外で脅かしたんだ?」

全身の血が凍りつくようで、私は行一の口元が動くのを見つめているだけだった。
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