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第9話

「あなたが私より優れているからってどうだっていうの?愛とは、誰がより優れているかの問題じゃない」

私はただ唐沢理沙の頭がおかしいと思う。

「もしあなたが人の優秀さを恋愛のためにだけ評価しているのなら、私にはあなたと話すことは何もない」

理沙はそれを聞いて、まるで怒りを覚えたかのようだった。

「あなたに何がわかるの!彼が一番辛い時に私が彼を支えたんだ。彼が病床で苦しんでいる時、あなたはどこにいたの?」

彼女は自己感動が大好きのようだ。

理沙は話しているうちに涙を流し、さらには手を上げて私を叩こうとした。

しかし、その平手打ちは行一によって止められた。

行一の表情には心配そうな色が浮かんでいたが、それが誰に向けられたものかはわからなかった。

彼は理沙の手を優しく揉みしだき、

「怒らないで、俺のためにしてくれていることはよくわかっているから」

行一の言葉はまるで針が私の心に刺さったようだった。

彼の病気のために2年間海外に行き、心血を注ぎ、一瞬たりとも休むことができなかった。

その結果、極度のストレスで、神経が衰弱し取り返しのつかない状態になっていた。

涙をこらえながら、私は問いかけた。

「行一、あなたも私が悪いと思っているの?」

行一は一瞬驚いたようだったが、私には構わず、理沙をなだめて車に乗せた。

理沙は嫌々ながらも結局その場を去っていった。

私と行一はかつての恋人だったが、今では一言も交わさなくなった。

「晴奈」

「理沙があの病院に働いているのに、どうしてあの病院にこだわるの?彼女は……お前と同僚になると気分が悪くなるから」

「行くのをやめてくれないか?他の病院でも同じだろう?」

結局、涙をこらえきれなかった。

抑え込んでいた不満と悔しさが一気に爆発した。

「行一、心から願うわ。あなたがあの二年前の病気で死んでいたらよかったのに」

私はその場を去ったが、背後に立ち尽くす行一は一歩も動かなかった。

希望していた病院に無事に就職することができた。

しかし、どうしても毎日唐沢理沙に顔を合わせることになる。同じ部署で働いているからだ。

私は理沙に対して、できるだけ仕事以外の感情を排除するように努めた。

だが、彼女の能力があまりにも低すぎて、つい厳しい言葉をかけてしまった。

そんなとき、彼女はいつも私が私怨を晴らして
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