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第2話

愛する人の元に戻った喜びから、愛する人の浮気を疑う現実に直面するまで、ほんの半日しかかからなかった。

行一は私を小河湾の別荘に連れて行き、私の頬に絶えずキスをした。

私は一瞬も目を逸らさずに彼を見つめた。

「行一、私に何か言いたいことはないの?」

しかし、彼の目には少しの後ろめたさもなかった。

「あるよ」

「毎日お前のことを思っていた。自分の不甲斐ない体を毎日恨んでいた」

温かい涙が私の肩に落ちた。

「お前が恋しい。愛している。もう一秒もお前を離さない」

子供時代の行一は、大院の中で恐れを知らない存在で、おそらく私のためだけに涙を流したことがある。誰が見ても、彼が私を心から愛していることは明らかだった。

彼は私のために泣くことがあるが、真夜中になると、私が寝ていると思って、こっそりバルコニーで電話をかけていた。

「今日はどうして彼女を挑発したんだ?」

「責めていないよ。俺のために不満を抱いていることは分かっている」

不満?

私が国内で名を馳せていた頃、行一は原因不明の重病にかかっていた。

国内のすべてを捨てて海外に行ったのは、彼に少しでも生きる希望を与えるためだった。

誰に責められても構わないが、行一だけは許せない。

バルコニーから彼の途切れ途切れの声が聞こえてくる。

「今夜は来ないで」

「彼女が帰ったばかりなのに、別れを言うのは良くない。おとなしく待っていてくれる?」

涙が目尻から枕に落ちていった。

幼なじみの行一が、子供の頃、よく私の頬をつねって「晴奈は俺のものだ」とぎこちなく言ったのを覚えている。

17歳の時、彼は珍しく真剣な表情で、私の好きなアイスブルーの花束を持ち、階下で緊張で震えていた。

「晴奈、誓うよ。お前を愛し続ける、決して変わらない」

しかし、電話の向こうで、行一はもう一人の恋人を慰めていた。

「もちろん、愛している。お前だけを」

痛みが腰に走り、立ち上がることもできなかった。

10年間愛し続けた行一が、本当に浮気をしていたなんて。

彼は何かを感じているようだ。

彼は何かを感じ取ったようで、振り返って、私の視線を捉えた。

彼は一瞬固まった。

「晴奈……」

彼は携帯をしまい、ためらいながら、私の方へ歩み寄ってきた。
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