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第50話

空港に到着して車を降りた時、兄からビデオ通話がかかってきた。特に考えずに、少し離れたところで通話に応じた。

兄という人は、本当に「驚才絶艷」という四文字がふさわしい人物だった。しかし、彼には理解できない癖があった。それは何か用があるときに電話をかけることが少なく、必ずビデオ通話にすることだった。

私は以前、彼にその理由を尋ねたことがある。彼はビデオ通話の着信音が大きくて、受け逃すことが少ないからだと言っていた。

今回、研究院がいくつかの名門校と合同でコンペティションを開催することになり、審査員はすべて有名な国画の大家で、各校がチームを組んで参加できるという。兄は私に参加するかどうか尋ね、もし参加したいのなら一緒にチームを組むと言ってくれた。

厳密に言うと、私も書香門第の出だと言えた。

父は高校の国語教師で、博識多才だ。もし母の性格が穏やかだったなら、父は毎日家で私と母に詩のクイズを出していたかもしれない。

母はインテリアデザイナーをしていて、父によると母は若い頃、珍しい才能を持った女性だった。もし家族に不幸がなければ、今頃は有名な画家になっていたことだろう。インテリアデザインをしているのは、母がやむを得ず次善の策として選んだ結果だという。

私は幼い頃から母の才能を受け継ぎ、絵を描くことが大好きで、十数年間一日も欠かさずに国画の向上を人生の目標にしている。

絵のこと以外で、兄と多く話すことはあまりない。しかし、彼の国画に対する業績は非常に顕著で、その力強く鋭い画風は私と相互に補完し合っている。私は彼から多くのことを学んでいる。

彼は私にとって、師であり友でもある。

国画は私の愛するものであり、彼と一緒にチームを組んで参加できるのは、私にとってこれ以上ない喜びだ。

通話を切る前に、兄は大学に戻ると言い、私を迎えに来ると話してくれた。

これで重い荷物を一人で運ぶ必要がなくなり、私は少し嬉しかった。

通話を終えると、鈴木拓海が大量の荷物と一緒に、少し離れた道端で私を待っているのが見えた。そして高橋明日香が彼の肩にもたれかかり、優しい笑顔を浮かべていた。

「誰とビデオ通話してたの?」彼は冷たい表情で私に聞いた。

私は驚いた。これがあなたに関係あるの?「あなたの知らない人だよ」

鈴木拓海は少し不機嫌そうに見えた。

「聞くまでもないわよ。こんなに
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