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第275話

 「私が見抜けないと思う?」

由佳は軽くため息をついた。「山口氏の新しい社長は誰?お兄さん?」

「うん。どうして知ってるの?」

やっぱり山口翔だった。

「大田さんから電話がかかってきたの。」

山口清次の顔色が少し変わった。「彼女が何か過激なことを言ってた?」

由佳は答えなかった。「彼女の言い方からすると、今日のことについては前から知っていたようだったわ」

清次は軽く頷いた。「私が会社を出るときに、お兄さんと彼女が一緒にいるのを見た」

「……どうやら早くから計画されていたようね。お兄さんがどんな役割を果たしていたのかはわからないけど……」

正直なところ、この出来事が起こる前には、山口翔が山本さんと関わりを持ち、清次を追い出して山口氏の社長になったとは思いもしなかった。

以前、由佳は山口家の古い家に住んでいた頃、清次とは異なり、山口翔は人当たりが良く、彼女にも気を使ってくれた。もし困ったことがあれば、二老に言えないことも、山口翔に助けを求めていた。例えば、学校である男生が彼女を追いかけ、拒絶された後も執拗に絡んできたが、その後山口翔が何をしたのか知らないが、その男生は二度と近づかなくなった。

若い清次が山口氏の社長になり、山口翔がならなかったのは、祖父の決定であり、由佳もその決定には間違いがなかったと思っていた。

以前は清次に対して、痘痕もえくぼ。性格以外は山口翔よりも優れていると思っていた。学業や仕事の能力も含めて。

今から見ても、やはりその通りだと思っている。

最初から、山口翔は不満を抱いていたのかもしれない。

「考えすぎないで。たとえ私が山口氏の社長でなくても、子どものために十分な資金を稼ぐことはできる」

長年山口氏の社長をしていた彼は、自分の投資や産業を持っているはずだ。

「それで、本当に社長の地位をお兄さんに譲るつもりなの?悪意を持って言うわけではないけど、この件はお兄さんが仕組んだ可能性がある……あなたはずっと彼に対して罪悪感を抱えていて、何でも譲ってきたけど、山口氏の社長はおじいさんが選んだあなたの役割よ、譲る必要はなかったのに」

清次は由佳の肩を軽く叩いた。「心配しないで。僕は状況を把握している。永遠の利益しかなく、永遠の敵はいない。取締役たちは普段は何もしないが、彼らの利益に手を出されれば必ず動揺する。誰が利益をもた
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