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第280話

 由佳は再び目を赤くして言った。「私はおじいさんのことを決して恨んだりはしない…」

彼女は、祖父にも困ったことを理解していた。

清次がグループの社長に就任した当初、若すぎたため、取締役会の多くが彼を支持せず、さまざまな摩擦が生じた。

中には取締役が頻繁に祖父に訴えに行く者もいた。

祖父が初めて介入した後、清次はグループ内での業務が進まなくなり、度重なる妨害を受けた。

取締役たちは告発が効果的だと見て、頻繁に祖父のもとへ行った。

その後、祖父は再び介入しなくなった。

彼はその時、清次がグループの社長であり、ただの教え子ではないことを理解した。

清次が会社でしっかりとした地位を築くには、十分な威厳を確立する必要があり、祖父は清次を支援し、取締役の意見に左右されずに彼を守る必要があった。そうしなければ、取締役や社員たちは清次を軽視することになるからだ。

この件についても、祖父はスターエンターテイメントを通じて反撃するしかなく、由佳の身分について直接説明することはできなかった。そうすると、清次が世間の批判を受けることになり、名声と威厳が失われるからだ。

この問題は清次自身が解決しなければならず、彼はそれを見事に成し遂げた。

おそらく、祖父は清次をより可愛がっていたかもしれないが、由佳はそれを争うつもりはなかった。

ただ、祖父が彼女の実の祖父でないことを理解し、自分の限界まで尽くしたことが十分だった。

身なりを整えた後、祖父の遺体が祭壇に移された。

由佳はその馴染みのある顔を見つめると、普段と変わらず、まるで眠っているようだった。

ただし、彼は二度と目を覚ますことはない。

そう思うと、由佳の涙は止められなかった。

祖父の葬儀は盛大に行われた。

礼堂の両側や通路には花籠や花輪が並び、山口家の親族や虹崎市の社会名流、官僚たちが続々と弔問に訪れた。中には特に祖母の体調を気遣う者もいた。

虹崎市のトップも秘書を派遣して花輪を贈った。

また、名も知れぬ小企業の経営者たちも、祭壇の前で拝礼した後、清次や山口翔のもとへ向かい、その目的は明白だった。

山口氏グループの取締役たちも弔問に訪れ、清次や山口翔と情報交換をした。

祖父が持っていたグループの大部分の株式の処理について気になるからだ。

さらに驚くべきことに、社長の人事が行われる同日に会長が突
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