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第212話

たとえ山口清次が実際に不倫をしていなかったとしても、加波歩美との間に微妙な関係があったことは否定できず、高村さんにとってはそれも不倫と見なされていた。

由佳は山口清次のために言い訳を言うことはなく、「今、おじいさんの体調が良くなくて、彼は私たちが離婚するのを望んでいない」とだけ返事をした。

彼女はシングルマザーとして育ち、自分の子供が自分と同じ思いをするのを避けたいと考えていた。

しかし、自分と山口清次の関係を考えると、本当に子供に温かい家庭環境を提供できるのか。

「人それぞれの生活だね。まあ、由佳ちゃんのことはあまり言えないけど、自分でしっかり考えた方がいいよ。それで、どうするつもり?あの投稿のコメントは全部由佳ちゃんを批判してるよ。公開しちゃえばいいんじゃない?加波歩美のメンツを潰すって」

「今のところ公開するつもりはない。ネットの人たちは批判したければすればいい」

「ふふ」

「山口清次のトリックがわからないの?公開すれば、山口清次が不倫したって明らかになるじゃない?メンツを守りたい男が公開するわけがないから、結局被害を受けるのは由佳ちゃんだよ。」

由佳は苦笑しながら、笑い泣きの絵文字を送り返した。

「それと、あの日投稿した写真、彼氏が山口清次じゃない?体型が良さそうだったけど、どうなの?セックスはどう?彼は上手なの?」

「?」

「色気ばかりの話じゃなくて、ちゃんとした話をして」

「大きさを聞かなかっただけでもちゃんとしてる」

「……」

高村さんはその後、忙しくなった。

少しして、由佳は北田さんからのメッセージも受け取った。

由佳は高村さんと話した内容を北田さんにも繰り返し伝えた。

今回のニュースで、しばらく静かだった大学のクラスグループが突然賑やかになり、興味本位で由佳をタグ付けする人が続出した。

由佳は無視し、スマホを置いて両手で顔を覆い、ため息をついた。

また、久しぶりに連絡を取ったクライアントが突然由佳に連絡を取り、山口清次についてさりげなく質問してきた。

由佳は彼らに事情を話すことはできず、なんとかごまかすしかなかった。「そういう事はない。メディアがただの憶測をしているだけです」

クライアントは「そうなの?違うように見えるけど?」と返信してきた。

そのメッセージを見て、由佳は話す気力を失った。

そのクライア
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