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第215話

「行って欲しいのか?」

由佳は、自分が行くかどうかではなく、加波歩美が諦めるかどうかが問題だと思っていた。

案の定、二人が休憩室で昼休みを過ごしていると、山本菜奈からの電話が再びかかってきた。

山口清次は休憩室でその電話を受けた。

由佳は、山口清次が「鎮静剤は使ったのか?」と聞くのを聞いた。

「使いました。ただ、最近は使用頻度が高く、加波さんの体が耐性を持ってしまい、あまり効果がありません」

「他に何人かに押さえつけてもらうのは?」

「加波さんはすでに二人の医者を傷つけています…」

「……」

しばらくして、山口清次は電話を切り、由佳を見た。

由佳は体を支えながら座り、目を澄ませて肩をすくめた。「病院に行く?」

由佳の目を見て、山口清次は息を呑み、説明を始めた。「加波さんが手首を切って自殺を図った…」

彼の声はますます低くなり、この時点でいくら説明しても無力に感じた。

それでも、加波さんが何をするかわからないため、彼は見て見ぬふりをするわけにはいかなかった。

「うん、わかった」由佳は淡々と頷いた。「行ってきて」

実際、彼女は加波歩美がビルから飛び降りると思っていたが、大体一緒かな。

「一緒に行こうと言ったじゃない。彼女とはもう二人きりでは会わない」

「私が行ったら彼女が悲しむかも…」

山口清次はじっと彼女を見つめ、動かなかった。

「仕方ないわね」由佳はため息をつきながら靴を履き、服を整えた。

二人は病院行きの車に乗り込んだ。

由佳は椅子に寄りかかり、窓の外の景色を眺めていた。これは最近、山口清次と車内にいるときによく見られる光景だった。

車内は静かだった。

山口清次は彼女の横顔を見ながら、彼女が怒っているのではないかと気にしつつ、彼女の手を握り、親指で手の甲を優しく撫でた。それは由佳を安心させるためか、自分自身を落ち着けるためかはわからなかった。

二人は病院に到着し、加波歩美の病室に直行した。

病室では、山本菜奈が加波歩美をなだめており、彼女の周りにはどうすることもできない二人の医者が立っていた。

山口清次がドアの前に現れると、山本菜奈は喜びの表情を浮かべた。「山口社長、ついに…」

しかし、その言葉は途中で途切れ、山本菜奈の顔に一瞬のひびが入った——彼女は山口清次の背後にいる由佳を見た。

一瞬、彼女はすぐに普段の
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