第221話

もし今日、本当に相手が彼らに何かしようとしていたなら、自分たちには反撃する力などまったくないだろう。

来た連中は一目で裏社会の人間だと分かる。刑務所に入ることを恐れず、しかも山口清次が一緒にいるのだから、警察を呼んでもどうにもならないかもしれない。

逆に、自分たちはもし彼らが復讐を決意したら、これからの人生を彼らから逃れることはできず、平穏な日々など望めないだろう。

山口清次は目の前の菊池さんを見上げた。

菊池さんは全身を震わせ、慌てて謝った。「山口さん、私が間違っていました！どうか許してください！お金はいりません、すぐに記事を削除します！謝罪します。もうこれ以上、私を痛めつけないでください。何でもしますから！」

「これはお前と佐藤孝太の初めての仕事ではないだろう？」

菊池さんの顔は紙のように真っ白になり、脚が震えてガタガタと音を立て、震えながら白状した。「違います……」

山口清次は何も言わず、静かに彼を見つめた。

菊池さんはすべてを打ち明けた。「8月に佐藤孝太が私を訪ねてきて、何枚かの写真を渡されました」

彼は山口清次の表情を伺いながら、震える声で続けた。「それは、山口さんが加波さんと一緒に山口氏のビルにいるところの写真です！」

「他には？」

「それだけです、この2回だけです」

山口清次の疑わしげな視線を感じて、菊池さんは慌てて弁明した。「本当です！山口さん、今となっては、もう嘘をつく理由なんてありません。これが本当に最後です。他のことは我々がやったわけではありません！」

他のこととは、山口清次と由佳が大劇院で撮影されたことを指している。

山口清次は証拠を手に入れており、静かに立ち上がり、ドアの方へ歩き始めた。

菊池さんは山口清次をじっと見つめ、心は徐々に沈んでいった。

山口清次はドアを開け、出て行こうとしたが、突然足を止め、振り返って青年に言った。「手加減しろ、命だけは取るな」

菊池さんはその場に崩れ落ちた。

……

ヴィラを出ると、山口清次は後部座席のドアを開けて中に入り、シートに寄りかかりながら、眉間を押さえた。

しばらく目を閉じた後、何かを思い出してポケットを探ったが、スマホが見当たらない。

振り返ると、スマホが後部座席の反対側に静かに転がっているのが見えた。

彼はスマホを手に取り、画面をスライドさせると、由佳か