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第222話

由佳はぐっすり眠り、翌朝は寝坊するほどだった。

家政婦が昨夜山口清次が帰ってきたことを伝える間もなく、由佳は慌ただしく出勤してしまった。

会社に向かう途中、由佳はSNSからの通知を受け取った。

タイトルは「#感情ゴシップの削除と謝罪」。

このワードはすでに検索インタレストの上位に登った。

クリックしてみると、アカウント「感情ゴシップ」の謝罪声明が表示され、すべての投稿が削除され、コメントとシェアの機能も無効にされていた。アカウントの設定も半年間しか公開しない。

昨日まで記事を絶対に削除しないと豪語していた「感情ゴシップ」が、今日は簡単に屈したことで、誰もが裏に何かあると感じた。脅迫かハッキングか、いずれにしてもネットユーザーの反感を買った。

記事を削除してもコメントを無効にしても効果はなく、好奇心旺盛な人々はすでに「感情ゴシップ」の関連投稿をスクリーンショットや動画として保存し、投稿をして、それが多くのネットユーザーにシェアされ、コメントされていた。中には暗号を使って動画を販売する者まで現れた。

「50分の動画、ホテルでの映像、欲しい人は連絡して」

「ykとクライアントの動画、冷やかしはご遠慮ください」

さらに、由佳に関する悪質な噂も次々と生まれた。彼女が総監督に昇進できたのは誰かとセックスして出世したからだとか、彼女がよくベッドでクライアントをもてなしているとか、さらには美容院が便乗して宣伝し、由佳がそこで密かに整形手術を受けたとまで言い出す者もいた。

……

吉村総峰はロケ撮影中だった。

アクションシーンが多く、武術指導による複雑なアクションもあり、多くの場面でワイヤーアクションが必要だった。

何度か上に吊られた後、吉村総峰はやっと地面に降りて休憩を取ることができた。スタッフが近づき、安全ロープを外し、アシスタントがすぐに熱いお茶を差し出した。

少し休憩した後、吉村総峰は立ち上がり、共用トイレに向かった。

ロケ現場の設備は少し不便で、トイレも複数人が使用するものであったが、清潔に保たれていた。

吉村総峰が到着すると、ちょうど中でスタッフが話している声が聞こえた。正確には、下品な話をしているのだった。

「……」

「あいつ前にも来たことあるだろ?一目で分かる、めちゃくちゃエロいって……」

「おい、どうして分かるんだ?匂いか?」

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