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第110話

田中健太の義父も呆然とした。生涯にわたってこんなにも信じがたいことにあったことがなかった……

田中健太は玉のブローチを見て、受け取らずににっこりと笑って菅原健に言った。「菅原さん、どうして私が必ずこの邪気を解消できると知っているんだ?」

菅原健は誠実に答えた。「もし田中さんができなければ、誰もできないと思います!」

田中健太は淡々と笑みを浮かべ、「菅原さんはごもっともだ。私はその方法を本当に知っている」

『九玄天経』にはこのような邪気について記されており、その解消方法も明らかに書かれている。

田中健太は玉のブローチをちらりと見て、手にとってみた。

このブローチは透明で美しく、妻の佐藤まゆみの腕につければ、きっと似合うだろう。

そしてこの菅原健という人。

正直に言うと、彼は悪い人間ではない。

ただ、家族の後継者に対する躾が甘すぎるだけで、死に至るほどの罪はない。

相手がこれほど誠実に頼んできたのだから、手を差し伸べるのは悪いことではない。

そこで、田中健太は言った。「わかった。菅原さんが頼んだからには、顔を立てるなあ」

そう言って、ブローチを受け取った。

田中健太がそのブローチを受け取ったのを見て、菅原健はあまりの嬉しさに深く一礼した。「田中さん、菅原家は京都において、まだ影響力はあります。邪気が解消されたら、今後田中さんが何か頼み事があれば、全力を尽くして協力します」

周りの人々は騒然となり、皆が驚いた。

菅原家はこれで全力を尽くしているのだ!

田中健太はしばらく考えて言った。「だったら一度だけ助けようか。菅原家の運命は、まだ終わるはずがないようだなあ」

菅原健はすぐに額を地につけて拝礼し、興奮して言った。「田中さん、どうかお手を貸してください!」

すると田中健太は隣の骨董屋から黄紙の霊符と辰砂を借り、黄紙に勢い良く何かを描いた後、それを菅原健に渡した。

「この霊符をその玉に貼り付け、家に置いて、毎日線香をあげて供えなさい。四十九日後には、邪気が自然に解消されるだろう」

「この四十九日、家で殺生や血の穢れを忌み、家族は毎日風呂に入って線香をあげてください、忘れないで」

「田中先生の言葉を心に留めて、必ず守ります!」

菅原健は丁寧に霊符を受け取り、田中健太に感謝の意を示した。そして、霊符を玉に貼り付け、黄紙の包みにした。

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コメント (1)
goodnovel comment avatar
美幸
続きが早く読みたいです...️
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