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第105話

菅原遥斗が強情を張るのを見て、田中健太は首を振り、軽蔑した笑みを浮かべた。「瓢箪と玉の栓でも区別がつかないのか?古くから『金の玉九竅にあらば、死人不朽を成す』という言葉、知らないのか?」

「何その金の玉や死人って?」菅原遥斗は混乱していた。

田中健太は馬の耳に念仏というような顔をして、首を振りながら言った。「わからないのか?九竅の玉、聞いたことあるか?」

「九竅の玉って何だ?」菅原遥斗はますます混乱し、田中健太を見つめた。

菅原遥斗は骨董が好きでもないし、研究する気もなく、他人がいいと言えばそれを買って、外で威張ることしか考えていなかった。

「馬鹿者だ!」

田中健太は冷笑して言った。「九竅の玉とは、死人が九つの竅をふさぐために使った玉の栓だ。耳、鼻、口、目は全部で七竅に加えて、生殖と排泄器官を合わせての九竅だ」

「死人だと!!」菅原遥斗は口を開け、目を丸くした。

彼は信じられない様子で首にかけている玉を見ると、全身の毛がたちまち逆立った。

これは本当に死人のものなのだろうか?

田中健太は皮肉を込めて言った。「どうやらお前は本当にしらないようだなあ。お前が手に取ったものは、死人が排泄器官をふさぐために使っていたもので、つまりは肛門だ。それを首にかけていて、臭くないか?」

菅原遥斗は話ができなくなり、手に取った玉瓢箪を見て、急に強い吐き気がした。

この玉瓢箪は、肛門に塞がれていたのか!

自分はそれを吉祥物だと思い、3年間ずっと首にかけていた……

「うぇっ!」

菅原遥斗はもう我慢できず、腰をかがめて吐き気を催した。

ついさっきまで群がって見物していた人は、今では嘲笑の目を向けていた。

更には、人の不幸を喜ぶ者もいて、菅原遥斗が無知にも巨額を出して、このような不吉なものを買ってしまったことを嘲笑っていた。

田中健太は冷たく言った。「さらに、この玉は長期にわたって死体から発生する悪臭に満たされ、凶悪な気を吸い取りすぎて、もはや凶から吉への転じる玉ではなく、大凶の物となっていた!これ以上身につけていれば、1年も経たず必ず不運によって死ぬことになるだろう」

その言い終えると、周りの人々はすぐに後退し、その凶気に触れることを恐れていた。

菅原遥斗のそばにいた三郎も、転がって離れたところへ逃げた。

彼は生半可な人で、普段はだまし討ちや騙し取る
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