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第5話

私は冷たく言った。

「だめです」

まるでさっきブルーダイヤをあげると言ったのが私じゃないみたいに。

彼女は私に怯えたのか、少し後ずさりし、ようやく反応すると、大声で叫びながら床に座り込んで足を叩いた。

「悠!私は君をここまで育ててきたのに、結局君の嫁がこんなふうに私を扱うなんて!

ここで君たち夫婦の生活を邪魔するべきじゃなかったわ

死んだほうがましよ!」

そう言って、彼女は外へ駆け出そうとした。

幼い頃から母親と二人で生きてきた悠は、彼女が「死ぬ」とか「出ていく」といったことを最も恐れていた。

彼は慌てて追いかけて行った。

玄関で泣き叫ぶ彼女をつかまえ、振り返って冷たい目で私を見た。

「涼子、これが君たち綾小路家のしつけか?

俺の母はお前の年長者だぞ!

彼女にあげるって言ったのに、なんで約束を破るんだ?」

五年間、毎日顔を合わせてきたその顔には、私への嫌悪が満ちていた。

私は突然、滑稽だと感じた。

「悠、このブルーダイヤをあげると言っても、君たちが受け取る勇気があるかどうかね。

昔、源の若旦那が亡くなったとき、これは彼のそばにあったものよ。

彼の怨霊がこれに宿っていて、母子二人を恨んでいるとしたらどうする?」

10

良時が事故で亡くなった。

誰もがそれを事故だと断定していた。

トラックの運転手が酒気帯び運転をして、道路を横断する子供を避けようとして、良時の車に突っ込んだ。

事故は繁華街で発生し、その様子は通行人の目の前ではっきりと見えていた。

私もその時までは、それがただの事故だと思っていた。

しかし、その競売品が悠の母親の所有物であることが分かるまでは。

その後、事故現場の監視カメラの映像を見たところ、画面の端に映る姿は彼女に他ならなかった。

偶然の一致だろうか?

彼女はたまたま事故現場にいて、たまたまその贈り物を見て、たまたまそれに欲を出したのだろうか?

だが、私はいつも陰謀論を好む。

これではまるで事故の計画者が自らの成果を見届けに現場にやってきたようじゃないか?

悠の顔を見つめて、その顔は良時に酷似していた。かつて抱いていた好意はすべて消え失せ、残ったのはただ嫌悪感だけだった。

11

その後、私は母子二人にはあまり気を遣わなかった。

調査は菅野に任せた。彼はとても有能な人間だ。

私は窓の外の
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