第11話

彼の顔には後悔の涙が流れ、だんだんと良時の顔と重なり、そしてまた離れていった。

私はその時初めて気づいた。良時に似た顔を持つだけの悠は、実際には彼とはまったく似ていないのだ。

私は階段に立ち、身をかがめて彼の顎をつかんだ。

「悠、私にとって、君にはこの顔以外に何の価値もない。

君は私が冷血な商売人で、君と一緒にいるのは源グループの財産を狙ったからだと言ったけれど、

でも今ならわかるでしょう？君がいなくても、源グループの株は遅かれ早かれようくんのものになるのよ。

当時は私が愚かで、君に安らぎを求めたかっただけ。

もし君がもう少し従順だったら、君のお母さんが犯した過ちを君に責めることもなかったかもしれない」

私は彼の額の髪を少し払い、彼の目尻をじっと見つめた。そこにはかつて赤い痣があったが、私の勧めで彼はそれを取ったのだ。

今になって、良時にはその痣がなかったからだと伝えるべきかもしれないだろう。

でも、私はしばらく考えた後、彼を許すことにした。

「悠、もう行きなさい」

私はすでに彼に十分寛容であったと。

そう思った。

だが、悠はそうは思わなかった。

彼の目は怒りで見開かれ、今にも私を殺しそうだった。

彼は実際にそうしたのだ。

果物ナイフがどこからともなく彼の手に握られ、高く掲げられて私の胸に突き刺さろうとしていた。

「涼子！てめぇ！よくも俺を利用したな！死ねぇぇ！」

すべては一瞬の出来事だった。私は必死に身体を避けようとした。

刃は私の肩に突き刺さり、痛みで顔が真っ白になった。

家の使用人が駆けつけ、大声で叫んだ。

「殺人だ！殺人だ！」

悠は驚き、私の傷口を見つめて呆然としていた。

彼の顔には飛び散った血が付いていた。

「俺は......

涼子......」

使用人はほうきを持って駆け寄り、一撃を彼に食らわせた。

彼はまるで急に目が覚めたかのように、振り返ってよろよろと外へ走り出した。

私は彼が去る方向をじっと見つめ、目を閉じた。

鋭い警笛の音が鳴り響いた。

タイヤが地面を擦る音が耳を刺し、悠の悲鳴と使用人の叫び声が混ざり合った。

「奥、奥様、旦那様が......」

死んだのだ。

24

退院の日、私は悠の母親を訪ねた。

長年手入れをしていた中年女性の髪には白い部分が広がっていた。

彼女は私を見て