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第10話

彼の目尻がピクピクと痙攣し、まるで視線だけで私を引き裂こうとしているようだった。

「お前は何が欲しいんだ?」

私はこの言葉を長い間待っていた。

彼の視線を受けながら、私はベッドのサイドテーブルから一つの書類を取り出した。

「君が持っている源グループの株を、ようくんに譲渡してちょうだい」

悠は急に立ち上がり、私が狂ったような目で私を見た。

私は時計を見て言った。

「考える時間は30分よ。30分後、菅野が証拠を会社の弁護士に渡すことになるわ

君、孝行息子なんでしょ?」

権力というものは、人の心を蝕むものだ。

もし悠がようくんが自分の実の息子ではないと知る前だったら、彼は何のためらいもなく署名していただろう。

だが、この時点では、彼はしばらく考え込んでいた。

「涼子、俺はお前を信用できない」

私は書類を片付けて、冷笑を漏らした。

「言い訳ね」

彼が去った後、私はこの録音を私の愛する義母に送った。

そして、付け加えた一言。

「お義母さん、昔、命を懸けて悠のために計画したのに、今では彼が財産と地位を失うのを惜しんでいるのですよ

本当にお気の毒ですね」

向こう側からはしばらく何の返事もなかった。

私は携帯を閉じて、再び寝ようと思った。

しかし、ドアが再び開かれた。

悠がドアの前に立ち、暗い顔で言った。

「俺がサインするから、この件はこれで終わりにできるのか?」

事態は少し予想外だった。

でも、面白くなってきた。

私は笑顔で言った。

「もちろん」

21

残念ながら、彼の母親が犯した罪はそれだけではなかった。

今回のことで母と子の関係が深まったようで、警察が来たとき、悠と彼の母親、それに穂乃香は餃子を包む準備をしていた。

材料はすでに整っていた。

新鮮な肉とネギが混ざり合い、緑の点が加わった肉の餡はとても食欲をそそるのだった。

悠の顔色は悪く、すぐに携帯を取り出して私に詰め寄った。

しかし、警察の次の言葉が彼を驚かせた。

「綾小路さん、あなたがある殺人事件に関与していると疑っているので、一緒に来てもらえますか?」

この言葉が通話中の電話を通して私の耳に届いた。

その後、途切れる音だけが聞こえた。

22

五年前の殺人事件が、愛人が後継者を殺害して自分の息子を立てようとした企みに関係していたとは。

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