第4話

低い声で言った。

「他の人に笑われないように」

悠の目はますます冷たくなっていった。

彼は私をじっと見つめ、その目で穴を開けようとしているかのようだった。

「だから、俺はお前の目にはただの笑い者ってことか？

涼子、俺は最初からわかっていた。お前は冷血なビジネスマンだ。自分に有利なことしかしない奴だってな」

８

悠の心の中では、私は確かに冷血な人間だろう。

彼は私がかつて誰かを激しく愛していたことを知らない。

家の年長者たちはそれを隠してくれたし、周りの人々も知っていながら言えなかった。悠の父親でさえ、私が彼の長男と四年間恋していたことを墓まで持っていった。

やがて時がすべてを風化させ、源 (みなもと)良時 (りょうじ)という名前さえほとんど語られなくなった。

だから悠は何も知らなかった。

彼は私が彼を選んだのは、綾小路家が源家の資産に目をつけたからだと思っていた。

だからこそ、急いで彼と一夜を共にし、陽太という正当な財産相続人を身ごもったと信じていた。

私が彼を愛していなかったにもかかわらず。

利益のためならば、自分を差し出すこともできるのだった。

悠もまた賢い人だ。私は彼を利用し、彼もまた私を利用した。

彼は必死に私に尽くし、私と一緒にいるために努力した。

恋愛、プロポーズ、そして結婚へと進んだ。

彼はこう言った。いつか私の足跡を追いかけて、肩を並べて立つことができるようになりたいと。

その言葉を口にした時、悠は接待の疲れから胃腸炎を起こして病院に入院していた。

彼は青白い顔でベッドに横たわり、私の手を握りしめながら、とても真剣に約束した。

私は手のひらから伝わる温もりを感じながら、心臓が激しく鼓動しているのを聞いた。

もしかしたら、その瞬間から、私は彼を好きになり始めたのかもしれなかった。

９

パーティーでの一件が大騒ぎとなり、悠の母親はその話を聞いて私たちを呼び戻して食事をすることにした。

食事と言っても、実際には叱責だった。

愛人として地位を手に入れた女性が、今の立場を私の支援のおかげで得たにもかかわらず、私の前で年長者のように振る舞い、私を説教しようとした。

それも、私が彼女の息子に少しでも心を寄せているからだと踏んでのことだった。

しかし今、私は悠への気持ちを引き上げた。

彼女は指を私の鼻先に突