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第5話

大物麻薬密売人が文句を言うはずもなかった。

むしろ、彼は寛大に3キロの薬物と二人の部下を香織に手助けさせるために残した。

「お前は実に卑劣な女だが、俺は気に入ったよ。もし警察でやっていけなくなったら、俺のところに来い」

大物は紙に電話番号を書き残し、言った。

「そんなことは絶対にありえないわ」

「だって、私は剛志と永遠に幸せになるんだから!」

香織はその番号を見向きもせず、私の携帯を使って外で待機している警察にメッセージを送った。

「アジトに爆弾あり、軽率な行動を控えるべし」

その後、彼女は大物麻薬密売人が事前に録音した音声を少しずつ流し、すべての麻薬密売人がまだアジトにいるように見せかけた。

実際には、私を拷問し、命を奪おうとしていた。

丸三日三晩、私の体は黒い針の痕だらけになった。

薬物依存が発作的に襲ってくると、骨の髄まで無数の蟻が這い回り、噛みついているようだった。

私は尊厳を失い、叫び、転げ回り、失禁さえし、人間とも幽霊とも言えない姿になった。

香織は言った。「私に土下座してお願いすれば、楽に死なせてあげるわ」

だが、そんなことは絶対にありえない!

私は警察官だ。罪人に屈するわけにはいかない!

それを見た彼女は、私の目をえぐり出し、耳元でそれを潰す音を立てた。

さらに、特製の小さなハンマーで私の全ての骨を一つずつ砕き、手足を細かく切断した。

それでも、アドレナリンを注射して私を生かし続け、すべての苦痛を完全に感じさせた。

ついには、鈍いナイフで喉をゆっくりと切られ、血が床一面を赤く染めていった。

私はそこで完全に息絶えた。

私の遺体の断片は、大物麻薬密売人の手下によって運び出され、廃工場には香織だけが残った。

彼女は私の銃を使い、何のためらいもなく自分の両脚を撃ち抜き、激痛に耐えながら外の警察支援部隊を引き寄せた。

「ごめんなさい、剛志! 私が無力だったせいで!」

「理沙は大物麻薬密売人から金を受け取って、偽情報を流し、罪を恐れて逃げたのよ!」

彼女の脚は血で染まり、涙で顔を濡らしていた。

剛志が彼女を疑うはずもなかった。その場で局長に報告し、私の全国指名手配が始まった。

それも赤手配のリストだ。

神様、あなたは本当に残酷だ!

私を無惨に殺し、汚名を着せただけでは飽き足らず、私にこの二人の甘い関係を目の当たりにさせるなんて!

私は一体何を間違えたというの!

そして、結婚式の日、同僚たちは皆集まっていた。

「香織さん、本当に綺麗だよ!」

「香織さん、おめでとう! 宮崎さんと早く子供ができるといいね!」

「五年経って、ようやく実を結んだね。おめでとう!」

「ついにお似合いのカップルが結ばれた! 私が応援してたカップルが実現したわ!」

私は胸がさらに痛むのを感じた。

五年前から、彼らの目には剛志と香織が完璧なカップルだったというのか?

それなら、私は何だったの?

ただの笑い者か?

その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おっと、ちょっと渋滞に巻き込まれてしまって、遅れてないかな?」

それは局長だった。

彼は満面の笑みで、二つの大きな紅包を差し出した。

「おめでとう、宮崎さん、山下さん。新婚生活を祝ってるよ!」

「ありがとうございます、高橋局長」

剛志も珍しく笑顔を浮かべていた。

「忙しいだろうと思って、来られないんじゃないかと思ってました」

「そんなわけないだろう!」

局長は笑って言った。

「君たち二人はここまで来るのに苦労が多かった。私はこの数年間、君たちが成長し、ますます優秀になっていくのを見てきたんだ。どんな大事な仕事があったとしても、君たちの幸せを祝う方が大事だよ!」

「本当そうですよね。二人が結婚するなんて、誰もが『苦労の末の幸せ』だって感動してますよ!」

海斗が舌打ちしながら言った。

「理沙とかいうあの裏切り者のせいで、うちの宮崎隊長は無駄な時間を何年も過ごす羽目になったんだ!」

「海斗、そんなこと言わないで」

「何があっても、理沙はずっと君のことを弟のように思っていたんだから」

香織はそうやって彼を諭しながらも、その目には得意げな光が浮かんでいた。

それを見て、海斗はさらに興奮し、軽蔑の声を上げた。

「誰がそんなこと気にするか! 俺が彼女に夢中になって崇拝していたなんて、思い出すだけで気持ち悪い!」

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