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第8話

その道中、剛志は8つの赤信号を無視した。

港に着いた時には、車のタイヤが片方パンクしていたが、彼は全く気づいていなかった。

「宮崎隊長!」

引き上げ作業を担当していた高木は、申し訳なさそうに頭を下げた。

「本当にすみません。結婚式の最中にお呼び立てしてしまって......ですが、どうしても......」

しかし、剛志は高木の言葉を遮り、ただ手を差し出して言った。

「頭だ、見せてくれ!」

「お、おう、ここに......」

高木は急いで別の車から袋を取り出し、剛志に渡した。

「殺した犯人は、彼女の身元を特定できる特徴を全て消そうとしたんだろうな。遺体と同じように、巨人観にさせるために保険金庫に沈めるんじゃなく、頭部を鉄のカゴに入れて石で沈めて海底に放り込んだんです」

「魚やエビに食われて肉が全部無くなって、白骨だけが残る。証拠が何も残らないようにするためだな」

「でも、完璧じゃなかった」

剛志が頭蓋骨を何度もひっくり返して調べている間、高木は煙草を一口吸い、続けた。

「犯人は考えもしなかっただろうが、これが逆に、俺たちに彼女の身元をすぐに確認させたんだ」

私は苦笑せざるを得なかった。

そう、その時私は、香織がまだ金持ちの男の犬になっていた頃で、彼女はまだ剛志のところに戻ってきていなかった。

当然、この傷のことも知るわけがない。

「左の下顎の擦り傷、7年前、俺を救うためについた傷だ」

「眉骨のひびは9年前、人質を助けた時についた傷だ」

「後頭部には骨セメントが打ち込まれている。あれは命からがら逃げた時、車に跳ね飛ばされて開頭手術を受けたからだ......」

「彼女だ......」

「本当に、彼女だったのか......」

「どうして、彼女なんだ......」

剛志は、高木の言葉には返事をせず、ただひたすらそう呟いていた。

彼が呟けば呟くほど、その手は震えていった。

私は嘲笑せずにはいられなかった。

どうして、私ではあり得ないと思うの?

剛志、お前はいつも「事実を目の前に置く」と言ってたじゃないか?

それなのに、今になっても、香織の嘘を疑おうとしないなんて。

その時、彼の手が滑り、私の頭蓋骨が地面に転がり
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