共有

第6話

「気持ち悪い?じゃあ、どうしてゲームの課金が終わると私にご飯代を借りに来たの?」

「どうして女の子に振られた時、私の足にしがみついて大泣きしたの?」

「それに、せっかく書き上げた検死報告書が、香織の名前で表彰されて、悔しくて私に愚痴をこぼしてたのは誰?」

「本当に、どっちが気持ち悪いのか!」

その時、同僚が小声で海斗を突いた。

「こんなめでたい日に、何でわざわざそんな縁起でもない話を持ち出すんだよ?」

彼は局長の方を見て、海斗に目で示した。

海斗もようやく私と局長の関係に気づいたのか、口を閉じた。

しかし、局長は笑顔で手を振りながら言った。

「我々は警察官だ。間違いに直面する時は逃げてはいけない」

「そして、警察隊に理沙のような裏切り者が出たことを、私も非常に悲しんでいる」

「彼女の行方についても、警察は追跡を続けているから、香織にもしっかり報告できるよ。安心しなさい」

そう言いながら、局長は剛志の肩を軽く叩いた。

その時、私の全身は、痛みで震えていた。

8歳の時に、両親が殉職した後、局長は私を引き取ってくれた。

彼は私を自分の子供のように育て、父親のように愛情を注ぎ、私を誇りに思ってくれていた。

そして、剛志と結婚した時、涙を浮かべながらも厳しい顔をして、

「もし、理沙を大切にしなかったら、お前の脚を折ってやる」と言っていたのに。

今では彼も......。

「局長、もう一つお願いがあります」

剛志が真剣な表情で言った。

「香織と二人で、理沙の両親の墓を建て直したいと思っています。私たち二人の名前で。彼女のような裏切り者は、烈士の子供としてふさわしくありません。彼女は烈士の名誉に泥を塗るだけです」

私はまるで雷に打たれたかのようだった。

私のすべての名誉を抹消するだけでは足りないのか?

私の両親の名誉までも奪おうというのか!

剛志、お前は本当に人間か!?

局長は少し考えた後、頷いた。

「君の言う通りだ。烈士の名誉は守られるべきだ。彼女の名前がそこに残っているのは不適切だな」

「結婚式が終わったら、すぐに手続きを進めるといい」

「ああ、そうだ」

局長は思い出したかのように、スマホを取り出して剛志に見せた。

「この前君が提案した件も、もう手続きが進んでいるよ」

「通緝犯理沙の全ての名誉を剥奪する件に関する会議通知」

その電子文書のタイトルを見た瞬間、私は突然笑い出してしまった。

死ぬのも、案外悪くないものだ。

少なくとも、これで明らかになった。

私がかつて愛し、信じてきた人々が、全員漏れなく、24K純度の大バカ者だったってことが。

「これって、やりすぎじゃない?」

香織は口元の笑みを隠せないでいたが、わざとらしく心配そうに言った。

「理沙が犯した罪は確かだけど、彼女のこれまでの功績を......」

「香織、お前の唯一の欠点は、優しすぎることだ」

「彼女が自分の功績を大切にしているなら、金に目がくらんで犯人を逃がしたり、君を傷つけたりするわけがない。全部、彼女の自業自得だ!」

剛志は不満げに眉をひそめ、その目には嫌悪が溢れていた。

「それに、もし彼女を捕まえることができたら、法律の裁きにかける前に、必ず君の前で土下座させて謝罪させる!」

局長も頷いた。

「そうだ。自分でまいた種は、自分で刈るしかない」

でも、私はもう死んでいる。

殺したのは、そちらで祝福されているその香織だ。

どうやってこれ以上、私を生かさないようにするつもりなんだ!?

怒りが込み上げすぎたせいか、私は突然、自分の顔が痒くなるのを感じた。

手で触ってみると、血の跡があった。

そうか......人間は死んでも涙を流すことはない。

ただ、血の涙を流すだけだ。

「もしもし?」

式が進行している最中に、剛志の携帯が突然鳴った。

激しいドラムの音が響き渡り、祝福ムードの中で一際異質なものだった。

だが、彼は以前言っていた。この音にしておけば、いつでも緊張感を保ち、油断しないで済むと。

電話を取ると、向こうからモーターボートの轟音が聞こえた。

そのため、相手の声はほとんど叫び声のようだった。

「宮崎隊長、たった今、死体の頭部が見つかりました!」

剛志は驚いて喜んだ。

「本当か?」

この遺体の事件は、市全体を震撼させ、警察も大きなプレッシャーを抱えていた。

頭部が見つかれば、歯のDNAを採取して身元を特定でき、事件解決も近づく。

「本当です! 一度確認に来てください!」

そう言って向こうは続けた。

しかし、剛志は眉をひそめた。

「俺が確認する必要があるのか? 鑑定課に回せばいいだろう。俺が今日は何の日か知ってるのか?」

「宮崎隊長、あなたは必ず来るべきです!」

相手は焦った様子で、彼の言葉を遮った。

「私が思うに、この頭部は......」

剛志はイライラした様子で言った。

「何なんだ、はっきり言え!」

「私は、この頭部が理沙のものではないかと思います」

「五年前、大物麻薬密売人を逃がして罪を犯し、逃亡したまま行方不明で、あなたの元妻でもある理沙です」

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status