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第7話

ドアを開けたのは俺の姉だった。

姉の知子は薫を見た途端、顔に怒りが溢れてそうだった。

「何しに来たの?この家はあなたなんか歓迎してませんよ!」

そう言って、知子はドアを閉めようとしたが、薫に止められた。

「私は勝俊と離婚の話をしに来ました」

彼女は得意げに手に持った離婚届を振って見せた。

「勝俊は夫として、三ヶ月も家に帰ってない。私はもう耐えられないから、離婚を考えていますが、問題ありますか?」

「勝俊に早く教えてください。サインしてもらったらすぐに区役所に行って離婚手続きをします。この生活はもう一日も続けられません」

知子は無表情で薫を見つめていた。

「離婚したら、あなたも幸せに初恋の人と復縁するんでしょ?」

薫は呆然とした。

思いが見破られて、彼女は少し恥ずかしかった。

「私は丹吾さんと何もないです。彼は私の初恋の人だったとしても、私は今結婚しています。なぜあなたたちはいつも偏見を持って私たちを見ているんですか?これは偏見だ!」

「嘘つけ」知子は笑った。

「あなたも自分が結婚していることを知っているし、自分が勝俊の妻であることも知っているはず」

「浮気をする人は誰も自分が浮気をしているとは思わず、いろんな言い訳をして自分を正当化する」

「結婚後に何度も他の男と祝日や誕生日を過ごすことが浮気でないなら、何が浮気になるんだ?」

「あなたの心の中では、最後の一歩を踏み出さなければ浮気にならないと思ってんのか?薫、言っておくけど、精神的に他人を好いたらそれも浮気に入るんだよ。あなたは本当に浮気性の女だ」

薫は言葉を失った。

でも彼女は諦めきれなかった。ここまで来て勝俊に会えないなんて、しかも彼の姉に叱られるなんて納得できない。

すると、彼女は突然知子を押しのけて、俺を探しに部屋に入ろうとした。

薫が部屋のドアを踏み入れたその瞬間、彼女は立ち止まった。

リビングの真ん中に、白黒の遺影が置かれているからだ。

遺影の中には、まさに彼女の夫、勝俊の写真だった。

俺の全身の血が沸騰しているようだ。

この三ヶ月間、幽霊になってから、妻が他の男と一緒にいるのを見るたびに、俺は考えていた。

薫が俺の遺影を見たら、どんな反応をするだろう。

俺は大きく目を見開いて、薫の顔をじっと見つめ、答えが明らかになるのを待っていた。

薫は冷笑し、
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