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第9話

薫は3回連続で赤信号を無視した。

俺の魂は助手席に座っていて、薫の焦りを感じた。

道中、彼女は眉をひそめ、斎田の電話をいくつか切った。

電話が再び鳴った。

今回は薫が電話に出ることにした。

斎田の声が聞こえてきた。「薫、胸が少し苦しい感じがするんだけど、君は……」

「体調悪いなら病院に行ってください、私はお医者さんではない」

薫は淡々とこの言葉を投げかけ、相手が反応するのを待たずに電話を切った。

俺は少し驚いた。

昔は、斎田が電話をかけてくると、薫はどんなに忙しくても斎田のそばに飛び込んだ。

でも今、俺は薫のことが少しわからなくなってきた。

車は猛スピードで走り、最後に拘置所の前で止まった。

意図を説明した後、警察の案内で薫はある面会室に向かった。

拘置所は静かで、足音しか聞こえなかった。

警察が一歩前に進むと、彼女もついて一歩進む。

ダダ、ダ。

いきなり、薫が口を開いた。

「あのすみません、西村勝俊の……遺体を本当に見たのですか」

警官は振り返り、疑わしげな口調で言った。

「あなたは亡くなった方の妻で、彼がすでに3ヶ月前に殺害されていたことを知らなかったのですか」

「この事件は悪影響を及ぼし、犯人は数日間追跡された後に逮捕されました。テレビ局も報道したはずです」

「西村さんは今まで知らなかったのですか?」

薫は足元が少しふらつき、危うく倒れそうになった。

俺が亡くなってからのこの三ヶ月間、薫は会社を他人に任せっきり、家で斎田と二人の世界に専念していた。

薫が斎田に愛情たっぷりの朝食を作っているとき、俺の遺体が発見され、体には傷だらけだった。

薫が斎田を寝かしつけるために優しくあやしているとき、俺の姉は軽い骨壺を抱えて火葬場で泣き崩れていた。

薫は俺が電話に出ないことで腹を立たせているとき、犯人がちょうど逮捕され、彼の家で大量の人体の破片が発見された。

俺の体の破片。

遺体が不完全で、あちこちから集めたため、俺の骨はほんの少しの灰しかならなかった。

姉はとても怒っていた、このことは薫に伝えなかった。

足音が止まり、代わりにすすり泣く声が聞こえた。

涙が薫の頬を伝って流れ落ちた。

突然、苛立ちを感じた。

生きているときに俺を大切にしないで、死んでから後悔して涙を流してくれても、何の意味もないのに。

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