共有

第8話

「次の日になって雨が止み、釣り人が川辺に来て、彼の遺体を発見し通報した」

知子は声の詰まりを必死に抑えた。

俺の思いは引き戻され、姉のすでに赤くなった目元を見つめた。

トランクの中で、薫の言葉を直接聞いたとき、俺は絶望していた。

七十二回も刺されて、涙を流さなかった。

ただ、心臓に穴が開いたように、悲しみは心の死よりも大きかった。

薫はその場に立ち尽くし、耳にしたことが信じられないようだった。

あの日、確かにスマホが鳴ったが、彼女はそれが勝俊からの電話だとは知らなかった。

彼女はただ、斎田が机の端に置いた自分のスマホを手に取り、一瞥してから淡々と言ったことを覚えているだけだった。

「またセールスの電話だわ。切っておくよ」

薫は気にしなかった。

今になって。

薫は硬直した首を回し、震える声で話した。

「そんなことはありえない、勝俊は死んでいない、きっとあなたたち兄弟がグルで私を騙しているんだ」

俺は薫の微かに震える背中を見て、彼女がすでに動揺していることをわかった。

知子は冷たく薫を一瞥し、彼女にある場所の住所を教えた。

舟城拘置所。

「弟を殺害した犯人はここに拘留されてる。信じられないなら見に行ったらどうだ」

そう言って、知子は薫を追い出した。
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status