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第14話

俺の魂は薫にぴったりとついていく。

彼女は斎田の住居に着いた。

ドアを開けると、来たのは薫だとわかって。斎田の目に一瞬の喜びが浮かんだ。

薫は無表情で部屋に入った。

斎田は薫に一杯の水を注ぎ、笑って言った。

「薫、ついに心を入れ替えてくれたんだね」

「人は死んだら生き返らない、ぼくたち生者は苦しみに浸る必要はない」

「僕と結婚して、薫。僕は君を守るよ」

薫はその水を受け取らなかった。

ただ呆然と斎田を見つめていた。

「丹吾さん、あなたが海外で負ったその賭けの借金は返済しましたか?」

斎田は相手がこの質問をするとは思ってもみなかったから、その場で固まってしまった。

薫の目に憎しみが閃いた。

「私は本当に馬鹿だった、あなたに何年も騙されていた」

「あなたが海外でやった悪事は、調べればすぐにわかるのに、私はあなたを信じて一度も調べたことがなかった」

「勝俊が私に忠告したのに、私はそれでもあなたを信じることを選んだ」

「斎田、勝俊はあなたが殺した」

「あなたは殺人犯だ、なぜ彼の代わりに死なないのか!」

薫の感情が徐々に制御不能になっている。

彼女は怒りに満ちて立ち上がり、バッグから短刀を取り出し、狂ったように斎田に向かって突進した。

斎田は薫が人を殺すとは全く思っていなかった。彼は避けることができず、刃先が腹部に刺さった。

鮮やかな血の花が咲いた。

斎田は地面に倒れ込み、苦しみながら助けを求めた。

「痛い……」

斎田が痛みを訴えるのを聞いて、薫の目が赤くなった。

「あなたが痛いなら、勝俊はもっと痛い」

「七十二回、彼はどうやって耐えたんだ!」

斎田はすでに制御不能になった薫を見て、恐怖に駆られてドアの外へ這っていった。

薫は何も言わず、ナイフを斎田の左脚に深く突き刺した。

一回、またもう一回。

薫の顔に血のしずくが飛び散った。

「丹吾さん、あなたが何万回死んでも勝俊に対する罪の償いにはならない、あなたは殺人犯だ」

もしかして今日逃げられないことを知っていたのかもしれない。絶体絶命の状況で、斎田の目つきは次第に凶悪になっていった。

「薫、お前に僕を批判する資格があるの?」

「お前も殺人犯だ」

薫はその言葉を聞いて呆然とした。

斎田は流血する腹部を押さえ、恐ろしい目つきをした。

「薫、勝俊の身分証を俺に渡
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