私の死に場所まで奪った愛

私の死に場所まで奪った愛

last update最終更新日 : 2024-12-30
による:   コーラ  完結
言語: Japanese
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家族愛

ひいき/自己中

逆転

大富豪の両親は全国的に有名な慈善家。300円以上の出費をするたびに、彼らに許可を求めなければならない。 癌の末期だと診断された日、2000円を申請したが、3時間も罵られた。 「若者に病気なんてありえないだろ。金が欲しいならもっとまともな理由を考えたらどうだ」 「2000円あれば貧しい地域の子どもたちがどれだけ暮らせるかわかってるのか?妹の方がよっぽど分別があるよ!」 病に侵された体を引きずりながら、数キロ歩いて地下の狭い部屋に戻った。 でも、商業施設の大型スクリーンには、両親が養子の妹のために巨額を投じてディズニーランドを貸し切った様子が映し出されていた。 堪えていた涙がついにこぼれ落ちた。 2000円では化学療法1回分にも足りない。ただ、新しい服を買って、少しでも見苦しくない姿で死にたかっただけだった。

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第1話

私は末期の癌だと診断された。大富豪である両親に寿衣を買うための2000円を頼んだが、3時間も怒鳴られた。「2000円あれば貧しい地域の子どもたちがどれだけ暮らせるかわかってるのか?なんでこんな役立たずを産んじまったんだ」「小さい頃から甘やかされて育ったくせに、なんで癌なんかになるんだ?死ぬならさっさと死ねよ」絶望の中、病院の入り口に座り込んだ。ポケットを探ると、残っていたのはたった500円。それでどうにか帰りのバス代は足りる。ここ数日、まともに腹いっぱい食べていない。それでも、両親は養女のために巨額を投じてディズニーランドを貸し切っている。彼らは私を辺鄙な地下室に追いやり、「女の子は貧しく育てるべきだ」と言い訳をする。地下室に戻ると、唯一自分のものだった人形を抱きしめた。もう家には戻りたくない。ぼんやりと眠りかけていた時、父から電話がかかってきた。震える手で電話を取ると、怒鳴り声が聞こえてきた。「お前の口座にある金はどこから来た?この小娘、また家の金を盗んだんじゃないだろうな!」「口座の金は全部妹に送ってやった!あいつはお前みたいな浪費家とは違う!」でも、口座に入ったばかりの40万円は先月私がバイトで稼いだ金だ。拳を握り締めたが、苦しくて何も言えなかった。彼らが私を救ってくれるかもしれないと信じたのは、ただの幻想だった。口を開こうとしたが、何も声が出ない。父は私が黙っているのを見て図星だと思ったのか、電話越しにさらに罵声を浴びせた後、電話を切った。全身が痛くてたまらない。骨の芯から全身に広がる鈍い痛みで、ベッドの端に突っ伏して吐いてしまった。残り1200円しかない口座の残高を確認し、体を起こして、鎮痛剤を買いに病院へ向かうことにした。だが、病院に入ったところで、こっちに向かって歩いてくる満の姿を見つけた。彼女の額には冷えピタが貼られ、後ろには心配そうな顔をした両親と、何人もの専門医が付き従っていた。「お姉ちゃん、なんで病院にいるの?最近学校にも来てないけど、もしかして彼氏と同棲してるって本当?」そう言いながら、彼女の視線は私の腹に向かった。病気のせいで普通の人よりも寒さに弱く、外に出るときには何枚も重ね着している。そのせいで今は体全体が少し膨れて見える。満はわざとらしく口...

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7 チャプター
第1話
私は末期の癌だと診断された。大富豪である両親に寿衣を買うための2000円を頼んだが、3時間も怒鳴られた。「2000円あれば貧しい地域の子どもたちがどれだけ暮らせるかわかってるのか?なんでこんな役立たずを産んじまったんだ」「小さい頃から甘やかされて育ったくせに、なんで癌なんかになるんだ?死ぬならさっさと死ねよ」絶望の中、病院の入り口に座り込んだ。ポケットを探ると、残っていたのはたった500円。それでどうにか帰りのバス代は足りる。ここ数日、まともに腹いっぱい食べていない。それでも、両親は養女のために巨額を投じてディズニーランドを貸し切っている。彼らは私を辺鄙な地下室に追いやり、「女の子は貧しく育てるべきだ」と言い訳をする。地下室に戻ると、唯一自分のものだった人形を抱きしめた。もう家には戻りたくない。ぼんやりと眠りかけていた時、父から電話がかかってきた。震える手で電話を取ると、怒鳴り声が聞こえてきた。「お前の口座にある金はどこから来た?この小娘、また家の金を盗んだんじゃないだろうな!」「口座の金は全部妹に送ってやった!あいつはお前みたいな浪費家とは違う!」でも、口座に入ったばかりの40万円は先月私がバイトで稼いだ金だ。拳を握り締めたが、苦しくて何も言えなかった。彼らが私を救ってくれるかもしれないと信じたのは、ただの幻想だった。口を開こうとしたが、何も声が出ない。父は私が黙っているのを見て図星だと思ったのか、電話越しにさらに罵声を浴びせた後、電話を切った。全身が痛くてたまらない。骨の芯から全身に広がる鈍い痛みで、ベッドの端に突っ伏して吐いてしまった。残り1200円しかない口座の残高を確認し、体を起こして、鎮痛剤を買いに病院へ向かうことにした。だが、病院に入ったところで、こっちに向かって歩いてくる満の姿を見つけた。彼女の額には冷えピタが貼られ、後ろには心配そうな顔をした両親と、何人もの専門医が付き従っていた。「お姉ちゃん、なんで病院にいるの?最近学校にも来てないけど、もしかして彼氏と同棲してるって本当?」そう言いながら、彼女の視線は私の腹に向かった。病気のせいで普通の人よりも寒さに弱く、外に出るときには何枚も重ね着している。そのせいで今は体全体が少し膨れて見える。満はわざとらしく口
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第2話
その時、向かいのショッピングモールの大型スクリーンに映し出されたのは、満の夢のようなバースデーパーティーだった。彼女は高さ1.8メートルの巨大なケーキの前で、スパンコールが散りばめられた高級ドレスを身にまとい、目を閉じて願い事をしていた。「私の願いは、パパとママと私がずっと一緒にいられること。世界中の病気の子どもたちが早く良くなりますように」会場には拍手が鳴り響き、プレゼントが部屋から玄関にまで山積みになっていた。父が腕を振り上げて宣言した。「娘のためだ、病気の子どもたちに2億円寄付する!」拍手はさらに熱を帯び、周りの人々は父と妹を絶賛していた。三人家族が並んで立つその光景は、まるで幸せそのもののようだった。私はとうとう涙を堪えきれず、流してしまった。背後には観衆がモールを埋め尽くしていた。「この寄付のおかげで、うちの子どもを日下部さんにお礼を言いに連れて行かなきゃな。あの子の支援がなければ、うちの子はとっくに死んでたよ」「本当だ。子どもにちゃんとお礼を言わせて、一生日下部さんのために尽くす覚悟だ」その時、さっき薬を出してくれた医者が追いかけてきた。「お嬢さん、さっき病院に癌治療のための寄付金が届けました。大富豪の一家から無償で寄付されたもので」「あなたの病気もちゃんと治療しないと。名前を登録しましょうか」彼女の優しい瞳を見つめると、母の非難の声が頭の中で再び響いた。他人ですら私に手を差し伸べてくれるのに、生みの母親は私が死ぬのを望んでいる。「何も言わなければ、同意したものと見做します。どんな状況でも、生きる希望を捨てちゃいけませんよ!」その時、電話が鳴った。父が私に言った。「妹に謝って、誕生日を一緒に祝え。そうすれば今回は許してやる」ちょうどいい。彼らに会うのはこれが最後だと思えばいい。急いで向かうと、彼らは冷たい目で私を上から下まで値踏みするように見た。「そのみすぼらしい服は何だ?わざわざ妹の機嫌を損ねるつもりか?」最後には、適当に放り投げられた店員の制服を渡され、着替えるよう命じられた。薄着の私がその上に服を重ねても、寒さは消えなかった。心の中が凍えるようだった。階下に降りると、そこには客が集まり、私だけがその場に馴染めなかった。耳元には褒め称える声が響
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第3話
満は微笑み、高慢に首を持ち上げた。「さあ、みんな中に入りましょう。ただのウェイトレス。宴会が終わったら、父さんと母さんに後始末させるわ」冷たいプールの水が鼻と口に流れ込み、私はもはや抵抗する力もなく、疲れ切った体がプールの底へと沈んでいった。目を閉じる前、耳には父の声が響いていた。「皆さま、我が愛娘の誕生日パーティーにお越しいただき、誠にありがとうございます......」私は死んだ。そして、魂はずっと家に留まっていた。両親の話を聞くことしかできなかった。「そう言えば実、ずいぶん顔を見てないな。来月はあの子の誕生日だから、家に呼び戻そう。うちの娘も十八歳になるんだ」「本当に親不孝者だ。電話すら取らないなんて、外で死んでしまった方がマシだ!」でもね、お父さん、お母さん。私はもう死んでしまったんだ。寒い冬の夜に命を落とした。十八歳の誕生日なんて、もう迎えることはできない。覚えている。まだ家の生活が今ほど裕福ではなかった頃。お父さんは私が「欲しい」と言っただけで、限定版の人形を買ってくれた。当時の私は、将来はお人形のような生活をしたいと思っていた。可愛く着飾り、新しい服をたくさん着て、大きな家で暮らす夢を描いていた。その後、両親は突然大金持ちになり、全国の富豪のトップに上り詰めた。私が欲しかったものはすべて揃った。大きな家、綺麗な服、そして無限の愛情。でも、彼らが満を養女にすると決めたその瞬間から、それらすべては私のものではなくなった。私は家を失った子供になった。それから三か月が過ぎた。彼らは私が電話をかけてくると思っていたが、いくら待っても音沙汰はなかった。学校に直接会いに行こうとしたものの、そのたびに満が様々な理由をつけて追い返していた。「あなた、実はどうして連絡を寄こさないのかしら。カードにはもうお金が入ってないし、今何をしてるんだろう?」「男の家で寝泊まりしてるんじゃないか?道楽者だ」「パパ、ママ、そんな風にお姉ちゃんを言わないで。きっと拗ねてるだけで、しばらくしたら戻ってくるよ」「満は小さい頃からいい子だから。あの恥さらしと違って!」今日は私の誕生日だ。両親は朝からケーキを買い、母は手料理を用意して私の帰りを待っていた。母は辛抱強く電話をかけ続け
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第4話
両親が病院に駆けつけた時、医者は彼らに対して強い反感を示した。「実さんは本当に強い人でした。あんなに重い病気にかかりながら、一度も痛いとは言いませんでした。当時はまだ初期段階だったので、化学療法を受けるように勧めたんですが、彼女はお金がないと言って、こっそりと去ってしまったんです」「化学療法?なんの化学療法だ?お前、デタラメを言うな!俺の娘は健康そのものだ!」父親は医者に掴みかかろうとした。医者は数歩後退し、その目には溢れそうなほどの嫌悪感が浮かんでいた。「こんな親がいるなんて信じられませんね。お子さんが亡くなってそんなに経つのに、未だに知らなかったなんて」両親は狂ったように医者の服を掴み、放そうとしなかった。「実、俺の実はどこに行ったんだ!あの子が死んだって言うのか?信じないぞ!元気だった娘が、どうして急にいなくなるんだ?絶対に嘘だ!お前たちは俺たちを騙しているに違いない!この病院を訴えてやる!」その時、周りを行き交う患者たちが立ち止まり、声をひそめて話していた。「これ、満さんのご両親じゃない?どうしてここに?もしかして日下部お嬢に何かあったのかしら?」「実って誰だ?日下部家には満さんという娘しかいないんじゃなかったのか?」医者は袖を振り払って立ち去り、代わりにかつて私の看護をしてくれた看護師が、両親を病室に連れて行った。「これが以前、彼女に割り当てられていた病室です。でも彼女は治療費がないと言って、帰ってしまいました」「帰った?実は家に戻っていないぞ!もう1年以上も帰っていないんだ!お前たちは絶対に嘘をついている!みんなグルになって俺を騙しているんだろう!」看護師は診断記録を見せながら言った。「記録を見てください。日付は満さんが風邪で病院に来た日と一致しています」「これが......本当なのか?」「じゃあ、俺の娘は今どこにいるんだ?」その言葉を聞いた母親はその場に崩れ落ち、大声で泣き始めた。「そんなはずないわ!私の実、今日は18歳の誕生日よ!私たち、彼女のために誕生日ケーキを買って、帰ってきて一緒に食べようって......!」「実......」父親は地面に倒れた母親を起こそうとしたが、母親は泣き崩れて息も絶え絶えになっていた。「娘が亡くなったなんて、俺は信じない!」「ずっと彼
last update最終更新日 : 2024-12-30
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第5話
彼らは懐中電灯を持って中へと入っていった。そこにはゴミが山のように積み上がり、悪臭が漂っていた。中にはボロボロで汚れた薄汚いマットレスが一つだけ置かれており、それが私の「ベッド」だった。唯一の荷物は、家から持ってきた人形だけ。その人形は、この部屋の中で異様に目立っていた。見るからに何年も前のものであることがわかるが、それでも持ち主に大切にされていたことが伝わってくる。人形にはいくつもの補修の跡があった。マットレスにはたくさんの血痕があり、それは私が亡くなる直前に残したものだった。両親はこの光景を目の当たりにし、信じられないといった表情を浮かべた。外にいた満が声をかけた。けれども彼女は「汚すぎる」と言って中には入ろうとしなかった。「黙れ!今さらそんな甘えた態度で何になるんだ。お前の戯言に付き合う暇なんてない。消え失せろ!」両親が彼女を怒鳴りつけると、満は驚いた表情を浮かべた後、泣き始めた。しかしその泣き声が両親の怒りに火をつけた。「泣いてんじゃねえよ!誰の不幸を願ってんだ!出て行け!二度と俺たちの前に現れるな!」その後、両親は法医学者に依頼して私が生前過ごしていた場所の鑑定を依頼した。鑑定の結果、確かにそこは私の居住地だったことが判明した。そして、血痕の状況から、私はすでに1年以上前に亡くなっていると結論づけられた。その知らせを聞いた瞬間、両親はその場で気を失った。母は気を失っている間も「実、戻ってきて......もう二度と叱らないから」と繰り返し叫んでいた。「実......お願いだから戻ってきて......」母が目を覚ましたのは、昏睡してから5日目だった。看護師が彼女の目覚めを確認するとすぐに駆け寄った。母は看護師の腕を掴んで離さなかった。「お願いです......娘がどこにいるのか教えてください......お願いします!」懇願するあまり、母はその場で跪いてしまった。彼女はその看護師を、以前私の世話をしていた看護師と勘違いしていた。看護師は母を慌てて引き起こそうとしたが、母は地面に座り込んだまま、ただひたすら私の名前を叫んでいた。その時、父が部屋に入ってきて「実の居場所がわかった」と言い、最後に私を見た人物の元へ連れて行くと告げた。その人物は学校の清掃員だった。彼女はゴミ箱のそばで、ボロ布に雑
last update最終更新日 : 2024-12-30
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第6話
拡大した画面には、自分の携帯に電話をかけている私が映し出された。電話口で「2000円を貸してくれる?」と懇願する声が聞こえる。「実......あの時、どうして信じてあげられなかったんだ!私が実をこんな目に遭わせたんだ......!」母は言葉を吐き出すと、その場で泣き崩れてしまった。父は、学校の倉庫近くの監視カメラの映像を確認できないかと警察に尋ねた。映像には、瀕死の状態でふらふらと歩く私の姿が映っていた。倉庫のドアにたどり着く前に地面に倒れ、体から血が溢れ出る。ところが、その直後の映像には、少し離れた通りで、父が笑顔で満の手を引き、彼女を学校に送り届ける様子が映っていた。「もしあの時、もっと周りを見ていれば......あの場所に倒れている実に気づけたはずだ......」父の声は震えていた。監視カメラの時間を私が亡くなった日に合わせると、満が私の部屋に入って私の遺体をゴミ捨て場に運び出す様子が映し出された。その瞬間、父は耐えきれなくなり、激昂して満を殴りつけた。警察官が慌てて止めに入るも、すでに満の顔は血まみれになっていた。もう遅い。全てが遅すぎた。父の言葉に、絶望がにじみ出ていた。「最愛の養女に、自分の娘を殺す羽目にさせられるなんて......」映像の中、私は抱きしめていた人形を手放さないまま運び出されていく。満はその人形に一瞥すらくれず、無造作に放り出した。清掃員のおばさんがその人形を拾い上げ、大切そうに私の遺体のそばに戻してくれた。時が経つのは、あまりにも遅かった。一分一秒が永遠にも思えるような、耐えがたい時間だった。父は低く呟いた。「俺が実を殺したんだ......俺が実を死なせたんだ......」満は殺人の容疑で拘留され、捜査が進む中で、父との不適切な関係も発覚した。母はその事実を知りながらも黙認していた。両親はこの出来事の後、二人とも重い病に倒れてしまった。入院中、記者たちが次々と病室を訪れ、私の両親に質問を浴びせた。「日下部さん、亡くなった娘さんに何か言いたいことはありますか?」「実......父さんも母さんも、本当にお前に申し訳ない......」病室の隅には、私の骨壺が置かれていた。両親は骨壺の前にひざまずき、子供のように泣き続けた。翌日、大富豪と謳われた父が
last update最終更新日 : 2024-12-30
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第7話
「実、父さんが悪かった!こんなにも長い間人を見誤り、自分の手でお前を墓に追いやってしまった」「佐藤さん、実は何か残してくれたものはあるか?」「お嬢様が日記帳を私に渡してくれました。お亡くなりになった後でご両親に見せてほしいと」「今日は私の誕生日。お父さんが私に人形をプレゼントしてくれた。この人形、とっても気に入った。これからずっとこの人形をそばに置いておくんだ。だってこれはお父さんとお母さんの愛情の証なんだもん!」「最近家に妹が来た。お父さんが彼女を大切にしろって言ったし、お母さんもそう言った。でも、私が彼女に優しくすると、彼女は私のことを嫌ってくる。どうしてか分からないけど、それでもお父さんとお母さんの言うことを聞いて、彼女を本当の妹みたいに思うことにした」「今日、妹がお父さんの大事にしてた骨董品を壊した。でも彼女は、壊したのは私だと言った。お父さんに体中を殴られて痛くて仕方なかった。どんなに説明しても信じてくれなかった。本当に辛い」ページをめくるたび、そこには両親への強い愛情が綴られていた。それを読んだ両親は嗚咽を漏らした。あんなにも虐げられていたのに、なお両親の言うことを聞こうとしていたなんて。いい娘だった。だが、もう二度と会えない。父親は狂ったように自分の頬を叩き始めた。「全部俺のせいだ! 俺が最低だったんだ! あの時、実に危機感を持たせようと思って、満を家に連れてきただけだったのに......どうしてこんなことになってしまったんだ......」母親は父親を前に押しのけるように詰め寄った。「今更そんなことを言う資格はないわ!満を家に連れてきて、娘のためだと言って、あの子とだらしない関係になったのに。私は家族のため、夫婦のためにずっと我慢してた。でもそのせいでまさか娘まで失うことになるなんて」「私なんか、母親失格よ」日記を最後のページまでめくると、そこには崩れたような文字が書かれていた。それは意識が朦朧とする中で実が書き残したものだった。「結局、一着の服も買えなかった。最後に2000円だけあれば服を買って、この世界にちゃんと別れを告げたかったけど、もう無理みたい。前は両親のことを恨んでた。なんで私のことを構ってくれないって。でも、死ぬ間際になったら、不思議と頭に浮かぶのは子どもの頃の記憶ばかりだっ
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