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第7話

岩崎初が去って間もなく、私も服を整えて家を出た。

別荘の鍵は持っていかなかった。

私は岩崎初が好きだ。

でも、母が星野正民への愛を捨てることは絶対にないことも、十分理解している。

母は母だ。だから、どうしても彼女を傷つけることはできない。

この問題には、解決策がない。

私がここを離れる以外、母を傷つけず、なおかつ私が一生誰かに振り回されずに済む方法はないのだ。

私は携帯を取り出し、家に向かいながら3時間後にA国行きのフライトを予約した。

家に着くと、母はリビングでテレビを見ていた。

私を見るなり、彼女は立ち上がり、「昨夜はどこに行ってたの?」と尋ねた。

「友達の家」私は淡々と答え、すぐに部屋に戻って荷物を整理し始めた。

母はすぐに追いかけてきて、私が荷物を探しているのを見て、心配そうに首を振りながら言った。「荷物をまとめなくていいのよ!」

私は動きを止めた。

どういう意味だ?

胸に不安がよぎった。

私は彼女を見上げ、彼女が続きを言うのを待った。

母は、「昨日、あなたの海外の大学からのオファー、全部断っておいたから、もう留学しなくていいわよ」と言った。

彼女は目をしっかり開け、声を張り、一言一言しっかりと告げた。

喉がカラカラに乾いて、一言も出てこなかった。

私はゆっくりと立ち上がり、パソコンを見た。

昨日出かける前に閉じていたはずなのに、今は開かれている。

母は、「昨日、何度かパスワードを試してみたの。そしたら、偶然にも解けちゃってね」

と言いながら近づいてきて、私の手を握り、少し哀れむような目で私を見つめた。「これって、運命なのよ、明。だから、安心して地元にいなさいよ。あなたのために、もうお父さんが仕事を見つけてくれたのよ」と。

私は彼女の手をそっと押し返し、諦めきれずにパソコンを開き、確認した。

ログインしていたメールには、確かに多くのオファー辞退のメールが並んでいた。

私は茫然と画面を見つめた。

母も私の後ろで、恐る恐る立っていた。

しばらくの間。

私はかすれた声で言った。「お母さん、ちょっと出て行ってくれる?ちょっと一人にさせてください」

母は少し委縮しながら、「わかった、わかったよ、明。お母さんを責めないでね。お母さんは、ただ私たち家族が離れ離れになるのが嫌なだけなのよ」と言い残して部屋を出て行った
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