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第5話

ぼんやりと目を開けたとき、外は薄暗く、すでに夕方になっていた。

体を動かそうとした瞬間、手首に何かが絡まる音が聞こえた。

私は一瞬で身震いし、完全に目が覚めた。

起き上がると、薄暗い視界の中で、岩崎初がベッドのそばに座り、私をじっと見つめていた。

私は驚いて大きく息を吸い込み、「くそっ!」と呟いた。

すぐに反応し、思わず口を滑らせたことに気づいた。「初先輩……」

手首に巻かれた鎖を引っ張りながら尋ねた。「これはどういうこと?ドッキリか何かですか?」

彼はベッドの横に立ち、身をかがめてベッドサイドのランプを点けた。

その時初めて、彼の目がとても優しい光を帯びているのに気づいたが、その優しさの裏には、強い侵略的な感情が隠れていた。

私は混乱しながら彼を見つめた。

彼は手を伸ばして私の顔を優しく撫で、今まで聞いたことのない優しい声で言った。「明、俺はお前が好きだ」

頭の中が一瞬で爆発したかのようだった。

私は呆然と彼を見つめ、「初先輩、あなた……」と言いかけたが、

彼は突然私に身を寄せ、唇を塞いだ。片方の手で私の痩せた背中を支え、もう一方の手で後頭部を押さえ、私を完全に動けなくした。

私は彼から与えられるこの未知の感覚に、ただ受け身で応じるしかなかった。

静かな部屋に、キスの音だけが大きく響いていた。

彼の瞳には欲望の炎が燃え、行動には圧倒的な男性のホルモンが満ちていた。

長い間、彼は私が窒息しそうになるまでキスを続け、やっとのことで唇を離した。

彼は私の唇を見つめ、指でその端に残った透明な糸を拭い取った。彼の目は真剣そのものだった。

「分かったか?」

私は複雑な表情で彼を見つめ、心の中の恐怖がまだ消えていなかった。

この瞬間、まるで雷に打たれたかのように、全身が痺れていた。

彼の目には、私は男のはずだ。

岩崎初……彼は男が好きなのか?

だが、心の奥底では、ほんの少しだけ嬉しい気持ちが湧き上がってきた。

岩崎初も私のことを好きだと。

しかし、その感情は湧き上がった瞬間、すぐに打ち消した。

私たちの家庭環境はまるで平行線のように、彼とはまったく別の世界に生きていて、交わることなど決してない。

私たちが一緒になることはあり得ない。

この事実を知っていたからこそ、私はこれまで彼への思いを心の奥深くに押し込め、決して表に出
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