「吉沢凛子、月香ちゃんの情けに免じて、今日は帰って考える時間をやろう。もし思い出して金を元に戻せば、今回のことはなかったことにしてやるから、わかったか?」吉沢凛子は相当頭にきていた。これはつまり彼女に、その200万を盗んだと自白させようとしているだけじゃないのか?「福留社長、私が考えるまでもありません。盗んでないものは盗んでないんです。好きにされたらいいですよ」吉沢凛子は背を向けて社長室を出ていき、直接監視カメラ室へと向かった。彼女が休んでいた数日の監視カメラを見ようと思ったのだが、監視カメラの映像は何者かによって消されてしまい、何も調べられないと言われてしまった。吉沢凛子はまた自分のオフィスへと戻り、金庫を開けてみたが、本来200万が入っていたところは空っぽになっていた。彼女は他の物品も調べてみたが、特に変わりはなかった。それから、彼女はもう辞めてしまったアシスタントに電話をかけた。そして、そのアシスタントは、しばらく経ってからようやく電話に出た。吉沢凛子が彼女に会社を辞めた理由を尋ねると、他に良い仕事が見つかったからだと言っていた。その後、彼女はまた200万の件について尋ねた。吉沢凛子が休みを取る前に最後に金庫を開けたときに、アシスタントもその場にいたからだ。アシスタントは口ごもり、しばらく待ってもごにょごにょとしていて、まとまった話は出てこなかった。そして最後に榎本月香に注意するよう、彼女は金庫の鍵を持っているかもしれないとだけ言い残した。この時、榎本月香が入ってきた。「吉沢凛子、さっさとあの200万を元に戻したほうが身の為よ。じゃないと福留社長が本当に通報して、あんた言い訳できなくなるわよ」と榎本月香が脅迫してきた。吉沢凛子は電話を置き、冷たい目で榎本月香を睨みつけた。「私が言い訳できないって?あんた毎日毎日福留社長のとこに行って、完全にあの金庫の鍵に触れる機会なんかたくさんあるじゃないの。あんたは全く怪しくないのかしら?」榎本月香はそれを聞いた瞬間、顔色を変えた。「吉沢凛子、ちゃんと証拠があって言ってるんでしょうね。あんたは財務部長よ、お金はあなたがなくしたの。他の人に濡れ衣を着せないでよ」「わかった、じゃ、今から警察に通報しましょ。警察に調べてもらうわ。監視カメラの記録がなくたって、指紋くらい残
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