「山本、何を言っているの!鈴さんは実力で今回のメインデザイナーを勝ち取ったんだよ。今やファッションショーも終わって、社会の反響もすごく良い。鈴さんの実力が証明されたのに、ここで何をたわごとを言っているんだ?」山本弘は全く気にしていない様子で、まるで蔑むかのような表情を浮かべていた。「ふん、これだけ?この件は誰にでもできることだよ。必ずしも三井鈴である必要はない!」「山本、いい加減にしろ!」周防智が直接前に出て彼を止めたが、山本弘は動じることなく、「三井鈴、ここであなたが自分の地位やバックグラウンドを使っていないと言えるのか?」と問いかけた。この言葉を聞いた鈴は、特に感情を表すことなく、山本を見上げた。彼の敵意の理由もわからなかったが、一つだけはっきりさせなければならないことがあった。「今回の主デザイナーは、公平に決まったもので、君が言うような汚い手段は一切使っていません」山本はそれを聞いて、口を大きく開けて笑った。「そんなことを言って、誰が信じる?お前たち、信じるのか?」その時、周防智が前に出た。「山本、メインデザイナーは鈴さんと岩本さんの二人が公平に競争して、全員の一致で選ばれたんだ。ここで騒ぐな!」山本は周防智を不思議そうに見た。脳がまだ混乱していて、なぜこれが美穂子さんと彼が話したことと違うのか理解できなかった。「山本弘!」と、熊谷教授が厳しい口調で彼の名前を呼んだ。「君が今日はどういう事情かは知らないが、鈴のデザインは誰の目にも明らかだ。そして、私は以前から考えていた事がある。今日みんながここにいるから、はっきり言っておこ」熊谷教授のこの言葉が出ると、みんなの視線が彼に集中した。熊谷教授は一周見渡し、最終的に鈴に視線を向けた。「鈴、ファッションショーの前に一度君にアドバイスしようと思っていたが、言わなかった。今日君を呼んだのもそのためだ。私ももうすぐ引退の年齢だし、門下生を探して、デザインに関する技術を伝えたいと思っている。君は私の弟子になってくれるかな?」この言葉が発せられると、周囲は一瞬静まり返った。熊谷教授の門下生になることは、誰もが夢見ることであり、この中にもその機会を期待していた人は多かった。しかし、今、熊谷教授がこの機会を鈴に与えると言った。それだけ鈴に対する評価が高いこ
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