京都奉行所の役人たちが現場に到着すると、北條剛は彼らと迅速に連携し、禁衛でもある山田鉄男と協議の上、刺客の遺体を京都奉行所の者たちに引き渡すことにした。公の機関に委ねられた以上、尋問は極めて重要だ。山田鉄男が先に尋問を行っているとはいえ、京都奉行所側でも改めて詳細を確認する必要があった。琴音は尋問を避けるため、重傷を装って意識を失い、侍たちに運ばれて自室へと運び込まれた。周囲の者たちは彼女の手当てに追われていた。北條守も、延々と続いた尋問の末、遂に疲労困憊して意識を失った。夕美の指示により、彼は文月館の寝床へと運ばれ、静かに休むことになった。北條次男家の老夫人は、今夜のさくらの救出劇を知るや否や、普段は長男家の内情に関わることを潔しとしない性格にもかかわらず、北條老夫人の前に堂々と歩み出た。鋭い眼差しで、厳しい声で詰問した。「あなたたちは、かつて彼女をどのように扱ってきたの?今夜、彼女は将軍家全体の命を救ったではないか。恥ずかしくないの?これからも彼女を悪く言うつもり?」北條老夫人は、初めてこの義妹の前で言葉を失った。今夜の危機は、彼女の僅かに残された命さえも震え上がらせるほどのものだった。それでも、かつての高慢な性格を捨てきれない彼女は、顔を数度歪めた後、かろうじて言葉を絞り出した。「彼女はどうやって将軍家への襲撃を知ったの? 刺客は彼女が送り込んだものかもしれない。まだ役所できちんと調べていないのに、どうしてそんなことを言えるの?」次男家老夫人は怒りと皮肉を込めて笑った。「そう、さくらが刺客を呼んで、あなたがたを殺そうとして、そして救いに来る。それであなたがたに恩を売り、将軍家に恩義を感じさせる。将軍家はどんなに大きな面子を持っているか。将軍家が彼女の恩を認めれば、彼女は将来、将軍家の恩顧によって栄華を極められるというわけね」次男家老夫人は言い終わるや否や、その場を立ち去った。歩きながら涙を拭う。悔しさが込み上げる。上原さくらへの同情と、長男家との分家を考えずにはいられない気持ちが胸中を掻き乱した美奈子は臆病で物事を恐れ、北條守の二人の妻は、一人は残虐で一人は愚かだった。まともな者は一人もいない。先祖代々の家を台無しにしてしまったのだ。しかし今、分家したところで将軍家に何が残っているというのか?以前から所有していた
Last Updated : 2024-11-26 Read more