琴音はまるで答えを察したかのようだったが、納得できずにいた。「あの時、私を愛したのは、単なる一時の気の迷いだったの?」守はこの質問にも答えられなかった。彼自身にもわからなかった。当時、琴音に心惹かれたのは本当だった。しかし、それが一時の感情だったのかどうか、彼には本当にわからなかった。琴音と結婚した後、さくらが家を出て行った時、彼は密かに後悔していた。さくらの父、上原世平に、さくらが後悔しないことを願うと言ったのを覚えていたが、実際にはその瞬間、彼自身が後悔していたのだ。しかし、その時、琴音を愛していなかったわけではない。確かに愛情はあった。ただ、一人の男の心に二人の女性を収められないのだろうか?多くの男が三妻四妾を持つ中で、さくらはそれを受け入れられなかった。彼は約束を破ったことへの恥ずかしさと怒りから、さくらの母がすでに亡くなっていることを理由に、約束を守る必要はないと思い込んでいたのかもしれない。当時は、さくらを思い通りにできると思っていたのだろう。親のいない孤児で、頼る実家もない。さくらの武術の腕前が自分や琴音をはるかに上回っているとは知らなかった。まして、さくらが単身で戦場に赴き、勇敢に戦功を立てるとは想像もできなかった。薩摩城を攻めた時、さくらの勇気と決断力を目の当たりにした。無数の矢が飛び交う中、危険に囲まれながらも冷静さを失わなかった。たとえそれが演技だったとしても、敵を威圧するには十分だった。そして、守自身も震撼させられたのだ。守が答えないのを見て、琴音は全てを悟ったかのように、悲しげに笑った。「因果応報ね。全て因果応報よ。でも、私たち二人でさくらを苦しめたのに、どうしてあなただけが報いを受けないの?あなたはまた結婚する。それも伯爵家の娘と。親房家と繋がって、これからはあなたの出世に障害はなくなるわ」守はそんな言葉を聞くのが嫌だった。顔に苛立ちを浮かべ、「男女の問題に因果応報なんてない。確かにさくらを裏切ったが、彼女に傷つけてはいない。もし本当に因果応報があるなら、お前の報いはどこから来たんだ?鹿背田城で起きたことを覚えているだろう?あの事件とさくら家の悲劇がどう関係しているか、わかっているはずだ。因果応報なんて言葉を口にして、本当の報いが来るのを恐れないのか?」「私はもう報いを受けたわ。私の
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