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第322話

一方、西平大名邸も賑わっていた。親房甲虎が北冥軍を率いることになったため、親房甲虎邸は今や非常に活気づいていた。明日が結婚式だというのに、今日からすでに宴会が始まっていた。

親房夕美が天方家から離縁状をもらって出てきた時、天方家は彼女に申し訳なく思い、嫁入り道具を返還しただけでなく、多額の金銭も与えた。天方十一郎の戦死弔慰金も全て渡し、さらに田畑も用意した。

天方家は武家であり、夕美の人生を無駄にはできないと考えた。しかし、その時親房夕美は再婚しないと言い張った。そのため天方家は、夕美が実家で暮らすには金銭や財産がないと身を守れず、一生を過ごすのが難しいだろうと心配した。

そのため、本当に多くのものを与えたのだ。

蓮華工房の婚礼衣装は通常半年前から予約が必要だったが、彼女は追加の金を払い、どうしても蓮華工房の衣装を着たいと主張した。

夕美の持参金は新しい箱に入れ替えられ、さらに多くのものが追加された。全部で68台分にもなった。

夕美は聞いていた。さくらが親王家に嫁いだ時の持参金は64台分だったという。彼女はさくらを上回りたかった。

さくらは北條家から離縁して出てきた身だ。親王家に嫁いだ後、どれほど栄華を極めるかは彼女次第だ。しかし、嫁ぐ日には必ずさくらを上回らなければならない。そうでなければ、どうして将軍家に嫁ぐ面目が立つだろうか。

夕美は深水青葉も都を離れたと聞いていた。上原太政大臣家からは上原家の親族しか来ないらしい。招待しなかったのか、それとも招待したが客が来なかったのか、わからなかった。

理由はどうあれ、さくらが北冥親王と結婚する際、太政大臣家側の準備は実に寒々しいものだった。

だからこそ、明日の結婚式では、夕美がさくらの存在感を上回らなければならない。

影森玄武は親王だから、自ら花嫁を迎えに来ることはないだろう。しかし、北條守は自ら夕美を迎えに来る。これでもさくらに一歩リードできる。

さくらと争うつもりはない。ただ、さくらという輝かしい先例がある以上、後妻である自分が見劣りするわけにはいかなかった。

それに、先日北條涼子が話していたことを、夕美は信じていた。頭が混乱している母親は信じないと言うが、母は年を取り、家事に気を取られていて、男女の機微がわからないのだ。

さくらが北條守を好きでなかったら、最初から彼と結婚せず、一年も待た
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