穂村宰相は涙を拭いながら言った。「生きていてくれただけでよかった。生きていてくれて本当によかった」彼は立ち上がって身を屈めた。「老臣の失態をお許しください。陛下にお恥ずかしい姿をお見せしてしまいました」「朕もまた感情を抑えきれなかった。気にするな。誰がこの知らせを聞いて喜ばずにいられようか」天皇は満面の笑みを浮かべた。そして何かを思い出したように、急いで命じた。「吉田内侍、お前が直接沖田家へ行くか、あるいは京都奉行所で沖田長官を探し、この件を伝えてくれ。彼らにも喜んでもらおう」傍らで涙を拭いていた吉田内侍は、聖命を聞くと急いで答えた。「かしこまりました。すぐに参ります」吉田内侍は喜び勇んで出て行った。上原家に後継ぎが残っていたことを、彼は心から喜んでいた。上原夫人には恩義があり、誰よりも上原家の幸せを願っていたのだ。穂村宰相は吉田内侍が出て行くのを見ながら、様々な思いが頭をよぎった。まだ多くの政務が残っているにもかかわらず、すぐに執務室に戻りたくはなかった。「陛下、関ヶ原の戦いは依然として我が大和国の恥辱です。この事実は隠蔽されましたが、平安京は今のところ明かそうとしていません。しかし、平安京の皇太子が亡くなった今、後継者争いが始まっています。後継者争いには手段を選ばないものです。平安京の皇子派の中に、この事実を暴こうとする者が現れ、平安京の民衆の支持を得ようとするかもしれません。我々は対策を考えておくべきではないでしょうか」天皇はしばらく考え込んでから言った。「この件は我々の頭上に吊るされた剣のようなものだ。平安京の状況についてはあまり知らないし、状況をコントロールすることもできない。今後どうなるかは予測し難い。対策についてだが、すでに手を打っているではないか。我々はまず葉月琴音を処罰せず、彼女の命を助けておく。朝廷がこの件を知らなかったことにする。もし暴露されたら、葉月琴音を縛り上げて平安京に送り、彼らの処置に任せればよい。それで一応の説明がつくだろう」そうでなければ、なぜ葉月琴音の命を助けておく必要があろうか。彼はとうの昔に彼女を八つ裂きにしたいと思っていたのだ。穂村宰相はしばらく考えてから言った。「はい、今はそれしか方法がありませんね。結局のところ、スーランジーも自ら復讐を果たしました。邪馬台の戦場で、葉月琴音が率いていた
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