食事が終わると、北田が車を運転して空港へ向かった。空港の駐車場に着くと、由佳は隣にいる総峰に手を振りながら「じゃあね、オーストラリアでまた会おうね」と言った。総峰は一瞬ためらい、車のドアを開けて降りた。「由佳、見送りに来てくれる?」由佳は少し驚いたが、深く考えずに反対側のドアを開けて車を降りようとした。北田も一緒に呼ぼうと思ったが、総峰がすかさず「北田は車に残っていいよ」と言った。「了解!」北田はすぐに応じ、笑いながら手を振った。「外は寒いから私は降りないわ。由佳、総峰をよろしく」由佳は仕方なく、総峰に「じゃあ、ターミナルまで送るわ」と言った。「うん」総峰は笑みを浮かべた。車の中では北田と高村が顔を見合わせ、何やら意味深な表情をしていた。由佳と総峰は並んでターミナルまで歩いた。その道中、由佳は話題を探そうとして、「フランスでの仕事は、年末前の最後の通告なのか?」と聞いた。総峰は首を振って答えた。「いや、残りの通告は全部前倒しにして、後半の半月を空けたんだ。君たちと一緒に旅行するつもりでね。ちょっとリフレッシュしたいから」「そんなに急がなくてもいいのに。無理して体調崩して入院するのは避けたいでしょ。ゆっくりした方がいいよ。休みは柔軟に決められるから、必ずしも年末に休む必要はないんじゃない?」「でも、一人で旅行するのはつまらないから、君と一緒に行きたいんだ」総峰は由佳をじっと見つめて言った。由佳は一瞬硬直したが、総峰の意図を無視するように答えた。「確かに、友達と一緒だと気が楽だよね。さて、ターミナルに着いたから、早く中に入って。私も車に戻らなきゃ、外は寒いし」「待って、由佳」総峰はダウンコートのポケットから小さな箱を取り出した。箱には有名な高級ブランドのロゴが印刷されていた。彼は慎重にその箱を開け、中から一条の美しいネックレスを取り出した。「フランスの免税店で買ったんだ。気に入るか分からないけど」由佳は一目見て、慌てて手を振りながら断った。「これは高すぎるわ。私は受け取れない」「高いかどうかなんて気にしないでよ。僕たちにとっては大したことじゃないし、気が引けるなら、後で何か同じくらいのものを返してくれればいいさ」「でも、それじゃああまり意味がないんじゃない?」「いや、意味があるんだよ。これは
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