Share

第336話

雪山から下りた後、由佳は太一からのLineメッセージを受け取った。

案の定、彼の友達は断ったようだ。

由佳は「残念だね、また今度機会があれば一緒にね」と返信した。

太一は絵文字を送ってきた。

太一の返信を見ながら、清次の顔はますます暗くなった。

由佳たちはレストランに向かい、昼食を取ることにした。レストランには大きな窓があり、外の景色を一望できた。

時間の概念がないため、観光客たちが食事をする時間もまちまちだった。この時、レストランにはあまり人がいなかった。

食事の途中、誰かが驚いて叫んだ。「見て!あれってオーロラじゃない?」

濃紺の空に、淡い緑色の光がうっすらと現れた。よく見なければわからないほどだったが、それでも多くの観光客の目を引いた。

しばらくすると、オーロラが一気に強くなり、広大な空に、緑色や白、紫紅色の光が鮮やかに広がった。

ホテルの部屋で休んでいた観光客たちも外に飛び出してきた。

由佳たちも箸を置いて、外に出てオーロラを撮影し始めた。

由佳が写真を撮る角度を探していた時、突然、鋭い視線を感じた。それは、前日の夜とまったく同じ感覚で、彼女を釘付けにした。

彼女は無意識に周囲を見渡し、その視線の主を探した。

だが、周りの観光客たちは皆、オーロラの撮影に夢中で、誰も彼女を見ていなかった。

由佳は目を二階の木造ホテルに向けた。

その瞬間、鋭い視線は消えた。

由佳は一瞬考え込んでから、再びオーロラの撮影に戻った。

ところが、またその視線が彼女に注がれているのを感じた。

彼女は何事もなかったかのように写真を撮り続けたが、その視線は彼女にぴたりと張り付き、動きを追っていた。

由佳は確信した。その視線は観光客の無作為な目線ではなく、明らかに彼女に向けられたものだった。

彼女は勢いよく振り返り、再び木造ホテルの二階を見つめた。

いくつかの部屋の明かりがついており、その部屋の多くでは窓が開けられ、観光客たちが部屋の中からオーロラを撮影していた。

また、何人かは外に出て撮影しており、出る時に電気を消さずにいたのだろう。

それ以外の部屋は暗く、カーテンが引かれていた。

由佳は、その視線がどの部屋から来ているのか分からなかった。

彼女は携帯を持ち上げて、木造ホテルの方向に向けて、まるでホテルとオーロラを撮っているかのように見せ
Locked Chapter
Continue to read this book on the APP
Comments (1)
goodnovel comment avatar
yas
推理モノになってきた!笑
VIEW ALL COMMENTS

Related chapters

Latest chapter

DMCA.com Protection Status