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第0344話

ネットユーザーA「これ、桜井さんを助けるんじゃなくて、完全に奥さんを助けに行った感じだよね!」

ネットユーザーB「いやいや、元奥さんだからね。でも、高杉社長って少なくとも良心はあるよ。命をかけて飛び込むなんて」

ネットユーザーC「いや、私だけ?高杉さん、実は桜井さんに感情があるんじゃない?」

ネットユーザーAがネットユーザーCに返信「バカ言うなよ。感情があるなら、桜井さんを捨てて陸川嬌のところに行くわけないだろ」

ネットユーザーCがネットユーザーAに返信「感情って、そう簡単に割り切れるものじゃないんだよ。最初は好きじゃなくても、離れてみて初めて気づくことってあるんだよ。人ってそうでしょ?そばにいるときは気づかないけど、いなくなると愛していたことが分かるもんだよ」

綿はそのコメントをさらっと読み流し、スマホを置いた。

彼女は上着を羽織り、病室を出た。目の前にはナースステーションがあった。

綿が近づくと、ナースがすぐに気づき、「桜井先生、もう目を覚ましたんですね!」と声をかけた。

綿は軽く微笑みながら頷き、「高杉輝明はどの病室?」と尋ねた。

「6023号室です!」ナースは嬉しそうに答えた。「桜井先生、すごく幸せですね!高杉さん、命がけで助けたんですよ!」

綿はその言葉に一瞬動きを止め、目にはかすかな苦笑が浮かんだ。

彼女がその場を離れると、後ろのナースたちが小声で囁き始めた。「ちょっと、あの発言まずかったんじゃない?高杉さん、桜井先生と離婚したばかりなのに」

「高杉さんが本当に愛しているのは陸川嬌だもんね」

ナースたちは顔を見合わせ、慌てて黙り込んだ。

綿は輝明の病室の前に立った。中から聞こえてきた会話に耳を傾けた。「明くん、もう危険なことには巻き込まれないでね。本当に心配だったんだから。

「綿ちゃんを助けるために自分をこんな目に遭わせて、それって本当に価値があったの?」

綿は病室の前で立ち止まり、中に入るべきかどうか迷っていた。その時、後ろから聞き覚えのある声がした。「綿ちゃん?」

綿が振り返ると、秀美が立っていた。

「お義母さん」綿は小さな声で答えた。

秀美はにこやかに微笑み、「大丈夫だったの?」

綿は少し申し訳なさそうに言った。「ごめんなさい、お義母さん。私のせいで、輝明を怪我させてしまった……」

秀美はその言葉を聞くなり
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