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第0348話

「陸川嬌、あなたは一生、高杉家に入ることなんてできない!」秀美は自信たっぷりに宣言した。

……

餃子を食べ終えたのは、もう夜の11時だった。

綿のスマホに雅彦からのメッセージが届いた。

雅彦「ボス、調べがついたよ。ボスを誘拐したのは陸川嬌じゃなかった。誰だと思う?」

綿「無駄話はやめて」

こんな時に、じらすのはやめてくれ、と彼女は苛立った。

雅彦「嬌の母親、陸川夫人だ」

このメッセージを見た瞬間、綿は無意識にスマホを強く握りしめた。

まさか陸川夫人が?

陸川夫人は普段から口が悪く、高慢ではあるが、本質的には悪い人間ではなかった。彼女が人を殺したり、誘拐したりするなんて、考えられなかった。

雅彦「ボス、陸川夫人は今夜ギャラクシーで会食があった。もうすぐ終わると思う。どうする?」

綿はそのメッセージを読み、すぐに雅彦の意図を理解した。

綿「待ってて」

彼女を椅子に吊るしたような卑怯な真似をよくやったな。あんな苦痛を、陸川夫人にも味わわせてやるのだ。

ギャラクシー・レストラン。

陸川夫人は数人の友人と食事を終え、レストランから出てきた。友人たちはそれぞれ散会していた。

陸川夫人は少しお酒を飲んでいて、気分は上がらなかった。遠ざかる友人たちを見送り、ため息をついた。

車を呼び、ドアを開けて乗り込もうとした時、車内にいる人物を見て驚いた。「桜井綿!?なんであんたがここにいるの?」

陸川夫人は前方を見たが、運転席には自分の運転手ではなく、若い男性が座っていた。

何かが違うと感じた陸川夫人は、すぐに車から降りようとした。しかし、綿が彼女の腕を掴み、強引に車内に引き戻した。

陸川夫人は「キャッ!」と叫び、ドアが閉められ、車はすぐに発進した。

陸川夫人は怒鳴った。「何をするつもりよ!」

「それは私の方が聞きたいですね、陸川さん。あなた、何をするつもりですか?」綿はにこりと笑いながら、しかしその声には冷たい刃が込められていた。

陸川夫人は綿をじっと見つめ、思わず唾を飲み込んだ。

まさか綿が、自分が彼女を誘拐した黒幕だと知っているのか?

綿は昨夜誘拐され、今朝病院に運ばれたばかりだ。それなのに、もう今夜には自分の前に立っている。

「私じゃない!」陸川夫人は反射的に自己弁護した。

綿は微笑んだ。本気で彼女が信じると思っているの?

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