共有

第0201話

「綿、今日の診察」小栗先生が綿を呼んだ。

すると、すかさず嬌が駆け寄ってきて、「小栗先生、今日の診察に私も参加させていただけますか?」と尋ねた。

小栗先生は驚いて嬌を見た。彼女も行きたいのか?普段は行きたがらないのに。

「いいわよ。それなら、あんたたち二人で一緒にやりましょう」小栗先生は特に気にしなかった。ひとり増えても減っても、大きな影響はない。

綿は小声で嬌を罵った。「あなた、まるでストーカーみたいに私に付きまとって、どうしても私から離れたくないみたいね」

「離れたくないのはあなたの方でしょ?私が先に心臓外科に来たんだから」嬌が皮肉を返す。

「嬌、忠告しておくわ。少し大人しくしてなさい。忘れちゃいないでしょうね?誰のおかげで医大に入れたのかを。」綿は嬌に警告する。

嬌は一瞬たじろいだ。

綿は目を細め、「私が機嫌を損ねたら、あなたの学歴なんて一瞬で台無しにしてやるわよ」

「綿!」嬌は歯ぎしりしながら、「あんた、私を脅してるの?」と怒鳴った。

「わかるじゃないの。あなたがバカすぎて、私が脅してるって理解できないんじゃないかって思ってたけど」綿はにっこりと微笑んだ。

嬌は顔を真っ赤にして怒りで震えた。「綿、あんた!」

小栗先生が二人を睨みつけ、「うるさいわよ!行かないの?」と叱りつけた。

綿と嬌はすぐに黙り込んだ。

その後ろを馬場主任が通りかかり、二人をちらりと一瞥した。

綿が声をかけた。「馬場主任」

馬場主任は無言で軽く眉をひそめ、オフィスに入って行った。

嬌は馬場主任の背中を見ながら、心の中で舌打ちをした。いつも私たちを見下して、本当に自分がそんなにすごいとでも思っているのかしら。

昼食の後、綿は少しばかりの差し入れを持って総一郎を見舞いに行った。

病室のドアを開けると、総一郎は手に持っていた書類を閉じて、綿に笑顔を向けた。「綿、来てくれたのか」

綿は軽く頷き、「韓井お叔父さん、今日は体調いかがですか?」と尋ねた。

総一郎はため息をつきながら、「だいぶ良くなったよ。ただ、歳をとると日に日に体力が落ちてくるんだ。もう昔のようにはいかないなぁ」と、やや諦めたような口調で答えた。

綿は昨晩、司礼が「父親しか親族がいない」と語った言葉を思い出し、胸が締め付けられるような気持ちになった。

彼女はベッドの脇に座り、優しく尋ねた。
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status