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第0200話

綿の率直な言葉に、美香は胸が痛んだ。

「綿ちゃん、本当に韓井司礼のことが好きなの?」

もし綿がそう言うなら、もうこれ以上は問い詰めることはできなかった。

綿はスマホを握りしめ、唇を噛みしめたあと、意を決して答えた。「ええ、おばあちゃん。司礼は本当に素敵な人です。優しくて紳士的で、彼と一緒にいるととても幸せな気持ちになります」

美香はまた沈黙した。

電話越しに、彼女が小さく息をつく音が聞こえた。

この結婚のために、美香はたくさんの努力をしてきた。それでも、こんな結末を迎えるとは思わなかった。

「おばあちゃんは本当に綿ちゃんのことが大切で…別れるのは辛いわ」美香の声が少し震えた。

綿は微笑んだ。「おばあちゃん、たとえ私と輝明が夫婦でなくなっても、おばあちゃんとの絆は変わりませんよ。これからもおばあちゃんに会いに行くから、心配しないでくださいね」

美香はまだ諦めきれずに言った。「綿ちゃん、もう少し考え直してくれない?」

「おばあちゃん、本当に韓井司礼のことが好きなんです」綿はこの言葉で、美香に完全に諦めさせた。

もうこれ以上は引き留める理由がなくなった。

綿は自分から電話を切った。

彼女はスマホを握りしめ、その静かな心に自分でも驚いた。

結局、高杉家から離れることは、こんなにも簡単なことだったのだ。

深く息を吸い込み、綿は階下へ降りていった。

家族全員が揃っていた。父親は朝早く、祖父を退院させて連れてきていた。

四人はテーブルに座って、綿を待っていた。彼女はその光景を見て、自分が本当に幸せ者だと感じた。

「昨日は韓井司礼さんと一緒だったの?」盛晴が綿をからかうように言った。

綿は少し照れながら、「ママ、やめて…」

「楽しんできたみたいね!」盛晴は嬉しそうに笑いながら、「未来のお婿さんになるかしら?」

「早くご飯を食べましょう、その話はもういいから」綿は促した。

天河は娘を見つめ、心の中でため息をついた。

輝明と別れて、綿ちゃんは本当に幸せになれるだろうか。

「さっさと離婚手続きを済ませなさい!」千惠子が冷たく真剣な表情で言った。

綿はうなずいた。「わかってる、おばあちゃん。仕事が落ち着いたらすぐに行くわ」

「うん、病院でのことは聞いてるよ。あんたを応援してるからね」千惠子は簡潔に言った。

綿は感激して、「ありがとう、お
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