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第0110話

輝明:「……?」

彼女がブロックしたのか?

輝明はすぐに綿の電話番号にかけたが、こちらもブロックされていた。通話しても「ただいまおかけになった電話は…」の音声が流れるだけだった。

輝明の顔は瞬時に暗くなり、怒りが心の底から湧き上がり、全身に緊張感が広がった。

この女、ほんとうに度胸があるな、あえて彼をブロックするとは!

さっきまでは一緒に食事をしていたのに、トイレに行った瞬間に何が起こったんだ?

以前は毎日一緒にいたがっていたのに?

輝明はテーブルに残っている綿が食べ残した料理を見つめ、心の中に苛立ちが広がった。

彼は大股で立ち上がり、外に向かって歩き出した。カウンターで、店長が言った。「輝明様、奥様がすでにお会計を済ませています」

輝明の顔はさらに暗くなった。

彼と外で食事をするのに、女性にお会計をさせる必要があるのか?これは彼に対する侮辱ではないのか?

「彼女はいつ出た?」輝明は冷たい声で尋ねた。

店長は時計を見て言った。「十五分前です」

十五分前?

輝明は携帯を取り出し、先ほどの通話履歴を確認した。まさに彼が嬌と電話していた時間だった。

彼女は彼が嬌と電話しているのを聞いたのか?

嫉妬した?怒った?それで彼の全ての連絡手段をブロックしたのか?

これを考えると、輝明の怒りは少し和らいだ。

女性は欲擒故縦の小技を使ったに過ぎない。

……

「お嬢様、後ろに車がついてきています」

綿が目を閉じて眠りかけていたとき、運転手が言った。

綿は目を開けて後ろを見た。そこには黒いロールスロイスがあり、すぐに誰の車かを察した。

陸川家の車だ。

「大丈夫、運転手さん、そのまま運転してください」綿は運転手を安心させるように言った。

運転手は頷いて、「わかりました」

嬌が彼女を追いかけている。彼女は何を恐れているのだろうか?

彼女は、彼が本当に自分を愛していると信じて疑わない輝明が、前妻と再び感情を取り戻し、自分を捨ててしまうことを恐れているのだろうか?

ロールスロイスの車内で、嬌は輝明が自分を家に送り届けた後、再び綿に会いに戻っていることを思い出し、その回数が一度や二度ではないことに怒りがこみ上げていた。

輝明は私、嬌のもの。私は必ず高杉家に嫁ぐのだから、何があっても阻止されるわけにはいかない。

綿と輝明が離婚できないなら、
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